終わりの始まり ⑧



「カナリヤ・ハルバリスト」



誰かが呼んだ。この声はサンザリカだった。サンザリカは妻を殺されたと思い絶望していたが、サンザリカの妻はハーネストの家にいた。睡眠薬で眠らせていたのだ。



ハーネストがサンザリカに妻を合わせると力が漲ったように顔が生き返った。サンザリカの妻は事情を知り、サンザリカを軽蔑すると思っていたが意外とそうでわなかった。サンザリカを優しく叱っていた。



そして周りの人たちにずっと頭を下げていた。サンザリカの妻が謝ったところで本人が謝らなければ意味ないが。サンザリカの犯したことは許されないことである。しっかりと罪を償ってもらわなければ。



「なんのよう」



「…まさかこんな呆気なくやられるとはな」



「私も驚きよ。こんな簡単に終わるとわね」



ため息をつく。



「最後に君に教えてあげよう」



「何?」



「君の本名だ」



さっきまで冷たい態度をとっていたがその言葉を聞き目を見開いた。



「私の本名?なんであんたが知ってのよ」



「君は色々と名前があるよな。一つ目はカナリヤ・ハルバリスト。二つ目はリオンネ・ニース。そして三つ目。君の本名それは」



カナリヤは唾を飲み込む。サンザリカは一度黙りそして口をゆっくりと動かした。



「シシリア・ジュリアート。これが君の本名だ」



「え…」



それを聞き一番に反応したのはカナリヤではなかった。毛布を肩にかけ運ばれる時サンザリカの言葉を聞きカナリヤをみた。それはシシリア・マリアス


だった。



「ジュリ…アート…?本当に…ジュリアートなの?」



「ああ、そうだよ。俺は色々と調べてるからすぐにわかったさ」



カナリヤも真実に驚きその場で固まっていた。どう反応すればいいのかわからなかった。嬉しいという気持ちもない。ただただ出てきたのは怒りだった。



「だから何よ…だって、この人たちは私との人生よりも、国民の人たちを守ることを優先した。どうして?どうして自分の子供よりも赤の他人を選んだの?」



わかっている。この人たちだって私を捨てる気はなかっただろう。ただ国民に訴えた後私の元に戻ろうとしたのだろう。捕まるなんて考えていなかったはずだ。



…この人たちと家族みたいに過ごしていたら何か変わっていたのか。ルリスとも出会わなかっただろう。こんなバカみたいなこともしなかったはずだ。ハーネストともシャリングともその他のみんなとも出会わなかった。



何が言いたいの。…自分でもわかんない。



「ごめんね…あなたを置いていってしまって…」



「許さない…けど、そのおかげでいろんな人と出会えた。出会い方は最悪だけど自分を変えてくれた人たちに会えた。そこは感謝する」



「…そう…立派に育ってたんだね…」

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