涙
消えてしまった。
彼女は、成仏できたのか。俺は、彼女を助けることが出来たのか。
胸にぽっかりと空いた穴。それが塞がることはもう無いだろう。
夜空を見上げる視界は、酷く歪んでおり、頬に何かが流れているのを感じる。
触れることが出来ないキス。なんの感覚もなかった。でも、なぜか。彼女の温もりを感じることができ、懐かしさを覚える。
最初、屋上で出会った時は驚いてしまって、思わず「消えろ」と言ってしまった。でも、その気持ちは本心だ。
せっかく、彼女が死んでしまったことに対し、向き合うことが出来たというのに。
また、目の前に現れてしまった。
俺は後悔の渦に巻き込まれ、今度こそ戻って来れない。そんな気がした。
でも、あいつはいつもと変わらない口調、表情で話しかけてくる。俺の話を聞かないのは、相変わらずだったな。
そんな、彼女らしさをかみ締め、俺は宝物である何も聞こえないヘッドホンを耳につけ、歩道橋をおりた。
俺の願いは────……
星空な瞳 〜願いの込められたヘッドホン〜
END
星空な瞳 〜願いの込められたヘッドホン〜 桜桃 @sakurannbo
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