第4話:鉱山都市ダブリス


 冒険者ギルドを出てすぐ、ワイバーンを召喚した。


「ここからずっと南西にダブリスって街があるんだけど、そこまでお願いしてもいいかな?」


「ギャルルルル!」


「ありがとう、助かるよ」


 ワイバーンの大きな背に乗り、大空を高速で飛行する。


 ダブリスに到着するまでの間は、得意な魔術や戦法などの情報を共有していく。

 ドワイトさんの傀儡かいらい人術じんじゅつは、事前に藁人形の準備が必要だけれど、汎用性の高い便利な魔術だった。


 広大な平原を越え、鬱蒼とした森林を飛び、大きな渓谷を過ぎた頃、周囲の気温がグッと上昇し始める。


「……ちょっと暑くなってきたかも」


「きっと火山地帯に入ったからですね……っ」


 ステラとルーンが手を団扇うちわのようにしてあおぎ、


「老体にはちとこたえるな……」


 ドワイトさんも額に汗を浮かべている。


 だいたい気温40度ぐらいだろうか。

 この暑さは、地味に体力が削られる。


「ワイバーンは大丈夫?」


「ギャルルー!」


「そうか、よかった」


 そのまま南西へ飛ぶことしばし――遥か前方、巨大な山のふもとに中規模の街が見えてきた。


「ドワイトさん、あれって……?」


「うむ、鉱山都市ダブリスだ」


「はぁ……やっと着いたのね……」


「早く、冷たいお水が飲みたいです……っ」


 街の正面付近で、ワイバーンはゆっくりと地に降り立つ。


「ギャルルルー!」


「うん、またね」


 ワイバーンはコクリと頷き、大空へ飛び立った。


「さて、行こうか」


「えぇ、そうしましょう」


「ど、どこか涼しいところは……っ」


「急ぎ耐熱装備を整えんとな」


 ダブリスの街に入って、すぐ異変に気付いた。


「……おかしい、よな」


「うん、さすがにちょっと静か過ぎるわ」


「どうしてでしょう、人の気配がありません」


「むぅ……」


 街の中が不気味なほどに鎮まり返っているのだ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【※読者の皆様へ、大切なお知らせ】

本日、新作をあげました!

タイトル:怠惰傲慢な悪役貴族は、謙虚堅実に努力する~原作知識で最強になり、破滅エンドを回避します~

URL:https://kakuyomu.jp/works/16818093087479543721


もしよかったら↑のリンクをタップorクリックして、是非読んでみてください!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

追放されたギルド職員は、世界最強の召喚士~今更戻って来いと言ってももう遅い。旧友とパーティを組んで最強の冒険者を目指します~ 月島秀一 @Tsukishima

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ