第6話
世界がオタク教によって征圧され、統一された頃、四人は世界政府の議事堂の中にいた。
そこで、声を聞いた。
「なんということだ。我が忠実なしもべたちがやられてしまったのか」
四人はきょとんとした。
「誰だ、おまえは」
真佐紀が叫ぶ。どこから聞こえるのかわからない声だ。ただ、上から聞こえてくる。天井の向こうから。
「我は何だ、汝が答えてみよ」
「知るか、そんなもん」
真佐紀は吐き捨てたが、キアゲゴーが強く興味を示した。
「やはりいたのですね」
キアゲゴーが静かにそういうと、それがこう答えた。
「そうだ。いたのだ。古代からずっと我がいることは伝えてきただろう」
「何がいたのだ。キアゲゴー、あの声の主は何だ?」
キアゲゴーは叫んだ。
「あなたがいながら、なぜおれたちはこんなに苦しまなければならないのだ、神よおおお」
そして、霊体と思われるものが議事堂に降りてきた。
「神って本当にいたのかよ」
「うおおお。我が叫びには叫びをもってして答えよ、神よ」
「なんてこと。無神論がまちがっていたなんて」
「安心してください。神は、そういう類いのオタク文化であればよいのです。無神論者とちがい、オタク教には神が存在しても矛盾は生じません」
「我がしもべを倒したおまえたちに天罰をくらわせてやる」
神がいった。
伊煮は顔が真っ青になっていた。
「何かからくりがあるんじゃないの? あれは本当に神なの?」
「少なくても、神が全知全能でないことはすでに人類史が証明している」
キアゲゴーが叫び、神に向かって水をかけた。
キアゲゴーが簡潔に指示を出す。
「消防係を呼べ。その消火装置で議事堂に現れた神を倒せとな」
そして、消防隊がやってきて、議事堂の神をやっつけると、声は聞こえなくなってしまった。
「神より強いのは消防隊だったのか」
そう真佐紀はつぶやいた。
こうして、一連の革命という名の人類史は一幕を閉じた。
異教徒たち 木島別弥(旧:へげぞぞ) @tuorua9876
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