彼女を人間にするには
バブみ道日丿宮組
お題:ぐちゃぐちゃの悪人 制限時間:15分
彼女を人間にするには
結果は一任されてた。
「なぜこうした?」
「……別に悪い人には人権がないから」
そう彼女が見下ろす場所には散らばったターゲットの遺体。どちらかといえば、プラモデルのパーツと見えなくもないが組み直すことは不可能だろう。
「人権がなくてもコストは掛かる。掃除は俺たちがすることじゃないがそこらへんも考えて行動しろ」
「弾は使ってない。全部これ1つ? ダメ」
上目遣いに彼女は哀愁感を漂わせる。
年相応にあってない少女である彼女にこうされては頭を撫でる以外俺にできることはない。悪いのは俺であって、彼女ではない。
そしてさらにいえば、この世界そのものが腐ってるからもうどうしようもないのだ。
「全然ダメじゃない。そう教えたのは俺だ。君が生き残れるように殺す手段、潜入する手段、気味の年頃の女の子が学ばないすべてを教えた」
「……そう。だから私は悪くない」
彼女の心を支配するのは俺であればどんな理由でもいいと判断するんだ。
かつての塞ぎ込んで人形と化した彼女へ二度と戻すわけにはいかない。
そのために例え悪人がぐちゃぐちゃになったとしても、元を正すしかない。
「あぁ、そうだな」
下をむくと、彼女の手が俺の頭を掴み、口に何かが触れた。
そこからは彼女の温もりを感じた。そしてそこから異物が口の中へと侵入した。
異物を舐めると口移しされてきたのは、彼女が好きなハッカ飴だということだった。彼女の愛情表現の1つでもある。
彼女は悪人にされた事件が原因で、愛を示す方法が人の数倍の欲がなければ認めることができない身体だ。
「あげる。最近新しいのでたんだ」
「なるほどな」
ハッカ飴に詳しくはないが、彼女の味が染み込んで美味しいと思った。きっとこれは今日の夜の誘い文句だろう。
掃除屋から愚痴を聞く俺に対する愛を返す意思表示。
「次が決まるまでは部屋でゲームする。夜には帰ってきてね?」
俺から離れると、ぐちゃぐちゃの死体を踏みつけながら彼女は部屋の入り口で振り返った。
「わかってる。飴ありがとうな」
「ーーあと赤ちゃん見てくる」
「おう、可愛がってやれ」
彼女と俺の子ども。
ただ、子育ては彼女には無理だった。
任務ごと、自由時間ごとに彼女は赤ちゃんに構うが、接し方を完全に忘れてるせいもあって悪戦苦闘の毎日だ。悪人であれば、どうすることもできるのにという姿をみるとほっとする。
まだ彼女が人間であって、悪魔になってはいないのだと。
「これはまた酷く荒らしたものですね?」
「いつものことさ? さ、はじめてくれーー」
そして最近流行りのドラッグの痕跡が見つかった。これが今回の山だな。
彼女を人間にするには バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri
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