逆ホラー

なつみかん

第1話 逆ホラー


xはホラー映画のお決まりに日々疑問を感じていた。


「何故幽霊から逃げてばかりなのか?」


幽霊は逃げるからそれを面白がって執拗に攻撃を仕掛けるのではないか?

小学生の男の子が好きな女子に執拗にやり過ぎてしまうのと同じ感覚なのでは無いか?


そう感じたxは幽霊屋敷へと足を運ぶ事にした。

幽霊達を”解らせてやろう“と思ったのだった。



幽霊屋敷は暗かった。

xは幽霊達は陰キャだなと感じた。

死んだからといってこんな暗く閉鎖した空間に住まいたいと思うものなのか?

かく言う自分も暗い部屋に閉じ籠りゲームばかりをしているのだが、xはとりあえず自己嫌悪をも八つ当たりとして幽霊達へ向けた。


そんな時だった。


がくんとシャンデリアが揺れ、何かが割れた音がした。


お決まり過ぎてxは失笑をしてしまった。

人が来るたびにこういった事を数十年数百年も続けているのだろうか。

飽きないのだろうか?

自分が幽霊であれば屋敷を地震のように激しく揺らし訪問者に泡を吹かせた後シャンデリアを金○に落として追い討ちをかける。


「下らねえなァ!! 遊園地のお化け屋敷のがよっぽどオモロいぞ!!」


友達がいないのでほぼそんな所には行った事が無かったのだがxはイキった。


幽霊はxの呼びかけに応じたのか窓ガラスをぱしゃんぱしゃんと割り始めた。


「もっと来いよ!! 窓ガラス割るなんざ誰でもできんだよ!!!! 何なら俺のが速く割れるぜ!!!!!! 窓ガラスバリバリ大会すっか!?!?」


xは窓ガラスの元に行き勢いよく割り始めた。

某ゲームのバーサーカーになった気分で、酷く気持ちが良かった。


幽霊はその様子を見て呆気にとられたのか、窓ガラスを割らなくなった。


xは決めた。


「この屋敷、俺様のマイホームにするぜええええ!!!!!! よくよく考えてみりゃタダだろここ!?!? 広いしヨーロピアンで最高じゃねえかァ!!!!!? おい幽霊、てめえも住まわせてやるよ」


こうして幽霊とxは幸せになった。

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逆ホラー なつみかん @Natsumikan_write

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