第2話【謎の配達員?】
時が過ぎ、帰り道。私は今朝言ったように美咲と本屋に行くために放課後教室で美咲を待っていた。
今日買いたいと言っていたのは参考書と、私が大好きな漫画である「未来の使者」という本の新刊だった。あの本は尊い【とうとい】。
言葉では表せない程尊い。
あの本の中に行けたらさぞ天国なんだろうなと常日頃思ったりするほどあの本は読んでいて癒される。が、私は行きたいとは思わない。本だからこその楽しみがある。本の世界に行って本当にあの物語を楽しめるか?と聞かれたらNOと答えるだろう。
私たちがその物語に行った事によりストーリーが変わる可能性もあるのだから。
『ほぉ、世の中にはそのような考えの若者もいるんですねぇ。』
いきなり後ろから声が聞こえ、振り返ってみると学校の生徒ではなさそうな女性が此方を見ていた。
「どちら様ですか?生徒以外入れないはずですが…」
『あぁ、僕は図書室に本を渡しに来た人だよ。君が一人で何かを呟いていたからつい話しかけてしまった。』
私は無意識に声に出して呟いていたようだ。
『あぁ、隣のクラスの〇〇君、明日から登校するから問題は無いよ。』
何故、図書室の本の配達員?さんが〇〇君の事を知っているのだろうか?まさか、ゆu
『僕が誘拐した訳じゃない。"彼"が"異世界に"行っていたから知っているんだ』
異世界に行っていた?戻って来れるという事か?
『ピンポーン!その通り!』
「え?」
『転生本屋さんをご存知?』
今噂の転生本屋さん…。
『その転生本屋さんなら転生した子を連れ戻す事が可能なのだ!まあ、帰りたいと本人が思わない限り連れ戻せないけどね。』
本人の意思によって帰れるか帰れないかが決まるということか。
「なら、もし、その転生者が戻りたいと思わなければ…その転生者は一生帰れないのか?」
『そうだね。帰れないし、人の記憶からその転生者の事は忘れられていく…というか、その子の存在がなかったことになるんだよね。今回〇〇君は最初の方で異世界について知り、怖さを知って帰りたいと願ったから戻ってこれた。まあ、転生本屋さんのことなどを忘れて…だけどね。』
成程そうやって転生本屋さんの事を隠してきたというわけか。
「というか、私にそれ教えていいんですか?」
『別に場所を教えたわけじゃないし。どうせ君もすぐ忘れるよ。忘れてなかったらまた僕と話そうね、お嬢さん。』
そう言い女性は何処かに歩いて行った。
その数分後美咲が来、一緒に本屋さんに寄って帰った。
とても、不思議な出来事だった。
ようこそ、転生本屋さんへ 雅閻 @miyabi01
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