ようこそ、転生本屋さんへ
雅閻
第1話【転生本屋さん】
世界の何処かに転生本屋さんという本屋さんが存在していると言う。
私は、そんな噂は嘘だと思っている。
だって、信じられると思う?この世界の何処かって言われたって信じられないでしょう?
何処かって何処ですか?って言いたいじゃない?存在するのなら何処か書いておいて欲しいでしょう?
それに、その本屋さんに辿り着ける人は本当に転生したい人のみと言われている。
つまり、面白半分では辿り着けない仕様となっている訳だ。だが、何人か転生考え無しに辿り着いた人は居るはず…。
そうじゃなきゃ存在なんてしないはずなのよ。存在していたら発見されているはずでしょう?転々と移転しているのかしら?
「ねぇ、聞いた?隣のクラスの〇〇君、いきなり居なくなったんですって」
「あら…転生本屋さんにでも行ったのかしら?」
そんな会話が聞こえた。有り得ない。転生本屋さんがそんな簡単に見つかるはずがない。
「おっはよ〜!沙音!」
いきなり後ろから押してきたのは私と同じクラスの女子である美咲であった。
「何何?またいつもの考え事?」
美咲は私の顔を見ては「考え事し過ぎるの良くないわよ?」と言ってきた。考え事くらいさせてくれ。
あぁ、自己紹介が遅れたね。私の名前は権藤 沙音【ごんどう さやね】。立派な高校三年生だ。
私は只今学校に向かっている最中である。
本当なら学校なんて行きたくないのだが、親に言われたので行かねばならない。
…もし、本当に転生本屋さんがあるのならば、1度でいいから異世界へ行ってみたいものだ。だが、帰れなくなるのは困るな。
私にはまだ家族も友人も居るしな。
「そういえば、あの〇〇君消えたらしいね。いつも異世界行きたいって言ってたから本当に転生本屋さんに行ったのかな?」
「そんな訳ないだろ。転生本屋さんなんて存在していると思うのか?」
「存在してるよ。きっと。」
何を根拠にそんな事言えるのだろうか。
第一、今の人生を諦めて転生なんて馬鹿馬鹿しい。絶望するようなことがない限り、転生したいとは考えれないだろうな。
「ま、そんな馬鹿馬鹿しいお伽話【おとぎばなし】のようなものを話してないで別の話をしようよ。」
「お伽話じゃないもん…」
「"のようなもの"と言ったじゃないか。あ、美咲。今日の帰り、本屋に行かない?買いたい本があるんだ」
「いいよ〜行こ行こ!!」
こんな楽しい会話が出来るというのになぜ異世界なんて行きたいと思うのだろうか。
私は不思議で仕方なかった。
◇
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