第10話 再び夢を




「元気がないようだが、どうした? お前は、自分の身に起こったことをちゃんと探し当てたじゃないか。何をそんなにぐったりしている?」


 再び、あの逆光の使者が夢の中に現れた。


「あなたが誰だか知らないけれど、俺を元に戻してください」


「それは、ワシじゃなくて、あの壁時計が決めることじゃ。ワシはなんもできん」


「そんな~ そんな殺生なことを言わないでお願いします。あの日から、すでに、13日が経つというのに、時計が動いてくれないんです。私は、姿も、声も実体がないらしく、この状況を誰にも伝えられないのです。家族は、憔悴しきっています。警察に捜索願なんかも出しているようです」


「ほお、そうなのか。ま、ワシにできることといえば、お前の話を聞いてあげるか、祈ってやることぐらいかの~」


「そ、そんな~」



・・・ここで目覚めた。



「かかかかかかか…」



 来た~!あの音だ!



 え?  止まってる。


 ということは、さっきまで、俺は透明じゃなかったってことか!



 お~~~~~~~~~~い! 俺は、此処に居るんだぞ~~~!






【了】





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時々、止まる時計 橙 suzukake @daidai1112

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