第9話 そして、その時は来た
「かかかかかかか…」
9時24分。違う!これはデタラメな時刻だった。ええっと、そう、午前11時46分。あの壁時計が予告の音を出し、そして… 今、針が沈黙した。
今日が、土曜日で良かった!一階に、息子がいるはずだ。
「あ、お前か、何にも聞かないで、息子くんを二階まで寄こしてくれ!・・・え?ゲームの途中だから駄目?・・・そんなこと言わずに頼む!え?お前が代わりに? わかった、わかった、いいから、急いで来てくれ!」
「かかかかかかか…」
「ぱたぱたぱたぱた…」
「貴方?・・・貴方?・・・」
「お前… やっぱり、俺は居ないんだな」
「貴方~!どこ~?」
「実はな、ソファに座ってるんだが、今は、透明人間になって… おい、お前、聞いてんのか! 俺は此処に居るんだってば!」
「貴方~? どこに居るの~?」
「だ~か~ら~、俺は此処に… 」
なんと、この状態だと、声も相手に聞こえないってことか… そうか、それはあり得る話だ。
ま、後は、この時計が動き出すまで待てば良いと。
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