ふぃんぐ
穂麦むぎ
ふぃんぐ
一気に涼しさというよりも寒さがやってきた秋の夜、僕とましろは三人掛けのソファーの肘置きに背を預け、向かい合う形で座っている。重なった足元には毛布を掛かっている。それが、たまに布擦れをおこす程度で会話はない。僕は本を読み、ましろはスマホをいじっている。
本がちょうどいい区切りについたので、本から目を離して彼女を眺めてみる。柔らかそうな頬とふんわりとした髪、全体的に柔らかくかわいい雰囲気だが、ワインレッドのチョーカーがすごく艶っぽくギャップを生んでいる。ずっとみてきた姿なのになれない魅力を感じる。
ちょっと見惚れていたが、ましろは全く気付いていない。僕にみられているのも知らないでケータイをみてにやにやしていてかわいい。
ただぼぅっと眺めていたら、やっと気づいたみたいで、こちらをみて口角をあげた。
なんとなく夜が深まっていく波動を感じた。しかし、僕はすぐに動くことができない。
彼女のオーラから、ムッとしてぼくをにらんだのを察する。
「て、だして」
唐突にましろが言う。
ぼくは、一瞬なんのことか分からなくて目で聞いてみる。しかし、答えは得られそうになかった。かわりに、そうしないと彼女が怒りそうな気配を感じた。
僕が、おそるおそる彼女に右手を差し出すと、ましろは妖艶に笑って、そばに座る。
ましろは僕の手を両手で包み込むように重ねて、その手をしっとりとみつめる。
艶めかしい動きに僕はゾクッときて、手を引っ込めたくなる。
恥ずかしさや照れに堪えて、いまから始まるアクションを待つ。
ましろは、僕の手をとても愛おしそうになでていた。彼女の手の柔らかさがとても心地よい。
ちょっとして、次は恋人つなぎのように手を重ね合わせて、にぎにぎを始める。
ましろの手のあたたかさにだんだんと気持ちが落ち着いてきた。
こちらも合わせるように握ってあげるととても嬉しそうに笑む。
僕は、ほとんど手をのばしきっているが、ましろは、僕の手に息が当たるほど顔が近づいている。
ちゅ
まるで王子様がお姫様にするようにましろが僕の手にキスを落とした。ドキッとしてもう片方の手でにやける口元をおおう。手はましろの両手でぎゅっと捕まえられているから逃げられない。
ちゅっちゅっ、とつづけて唇が落とされていく。ちょっとずつ位置を変えながら、たまにちゅぅっと吸いつかれる。
ぱくっ
親指が熱くしっとりとした感触に包まれる。舌がもごもごとする様子が伝わってくるのがさらにえろい。
くいくいとおや指を動かすと舌がそれにあらがうように押し返してくる。歯をなで、頬の内側に指を沈めて、ましろの口の中をとかしていく。
僕はちょっとだけましろに近づくように腰をずらして手をさらに自由に動かせるようにした。
ぷはっ
緩く包んでいたくちびるから熱い息がもれる。
腕を緩めて顔から離れそうになるが、ましろはさらに指にすいついて離れない。
指をくらえられている手のひらをそのまま彼女の頬にそわせて、さらに指を深く沈める。ましろの口は緩く開いて、唾液が唇からこぼれる。
ぷはぁ
指を吐き出したましろは熱く息を吐いた。彼女の舌と僕の指にいっしゅん糸がのびる。僕の親指がましろの唾液でてらてらとひかり、溢れていたよだれは手首にまでたっしていた。
だえきにまみれた親指を頬でぬぐう。口に指が触れるとそのまま沈んでいった。そうやって沈んだ中指と人差し指でじゅぶじゅぶと口の中をいじって、舌を引っ張り出す。
んべ
舌と一緒に熱い吐息ももれる。舌の上にのった指でざらざらしている舌をなでる。
僕が手の動きを休めると、指先をちろちろとなめてくれる。
舌をださせたまま、指を差し入れて頬を押したり歯をなでたりして遊んでいると、指と唇の間からよだれがだらだらとこぼれていく。
いったん、指を離す。唾液に濡れた手はましろの素肌を、もう片方の手は彼女の頭をなでる。すると、彼女は上目遣いで僕を見つめ、しっとりとした瞳が僕をとかす。
ふたたび、指を彼女に咥えさせると、しっとりとしかし感触がはっきりと伝わるようにして出し入れを始めた。
ちゅばぢゅばちゅばちゅば
いやらしい音をたてながらゆっくりと、僕の指を口でしごく。
僕のあいている手でなでると嬉しそうな目をこちらにむけてきた。ときおり、頬によせてもごもごとする。
ぷはっ
指が開放される。ましろはゆっくりと深呼吸をしながら後ろのほうに倒れていった。僕の手はその場にのこり、唾液がてらてらと反射していた。
ましろの瞳はうすく僕をみつめていた。
僕はましろへ吸い込まれていった。
ふぃんぐ 穂麦むぎ @neoti_2020
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