この作品を一言で表すと、怪物であり合法電子ドラッグ

 この作品を読んでいると、自分の心の中をのぞかれている気分になる。
主人公クルスを取り巻く環境や階級社会を経験していないはずなのに、
何故か1話読み進める度に胸が締め付けられ、同時に心の奥底から熱く燃え上がっていくのである。劣等感や才能というのは、何に挑戦するにしても日々私達を蝕んでいくし、普通はそれを理由に自分の心を守るのがある意味大人の生き方としては正しいのかもしれない。それでもこの物語の主人公は大人と子供の狭間を目をつぶって超えずに立ち向かうのだ。
 その姿勢・覚悟に気付いてしまうともうこの読書から目が離せないし、寝る際は枕の代わりにこの本によだれを垂らしてしまう。(スマホだが)
 この物語を読み終えた際には、自身の見えない未来という暗闇を想像し、今持つ人生観を変化させてくれるのではないかと既に確信している。
 レビューというより、もはや私はクルスという一人の人間の生き方にのぼせられているので、正常な感想を書くことが出来ないのは許してほしい。

 何がために騎士は立つ

これは危険だ。読み始めたら今までの自分ではいられなくなる。
クルスさえ在れば何もいらないのだ。