スキルの代償は何にしますか?

喰寝丸太

スキルの代償はこれにする

 トラックに跳ね飛ばされたら白い空間にいる。

 小説にありがちなあれね。

 異世界転生とか異世界転移だろう。


「どっちですか?」


 目の前にいる偉そうな初老の人物に話し掛ける。


「異世界転移だな。転移にあたって、何でも出せる創造スキルをやろう。だが、1グラムにつき1個の代償を求める。代償はお前の物でなければならん。代償を選べ」

「ルールを聞いて良いですか?」

「よかろう」


 ルールは以下の通り。

 1・所持してなければ代償と認めない。

 2・土や水などの細かく分けられる物は1キログラムに対して1グラム。分子一個で代償一個というのは認められない。

 3・エネルギーを出す場合は1キロカロリーにつき代償一つ。

 4・魔力を代償に選んだ場合、1魔力につき1グラム。


 無難な所だったら銅貨一枚で1グラムの物って答えるんだろうな。

 もしくは魔力か。


 小石というのも捨てがたい。

 小石1個で1グラムの物が出せれば、それなりに何とかなるだろう。


 いや待てよ。

 俺が今持っている物で、あり余っている物があるじゃないか。

 そうだよな。

 それにしよう。


「俺が選んだ代償は赤血球だ。赤血球1個で1グラムの創造を求める」


 聞いた話では赤血球は16兆個から20兆個あるらしい。

 20パーセント失うと危険だとの事。

 3.2兆個を失っても平気な計算だ。


「がはははっ、よかろう。達者に暮らすが良い」



 転移されたのはドラゴンの前。

 だが、負ける気がしない。


「5千万個の赤血球で電撃を創造する」


 スパークが散って焦げ臭い匂いが立ち込めた。

 ドラゴンは見事丸焦げになった。


 電卓を叩いて計算してみた。

 ふん、10ミリリットルほどの血液にある赤血球で黒焦げか。

 これは勝ったな。

 ははははっ、金でも何でも出し放題だ。

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