本丸食堂異世界店〜美味しい肉はいかがですか?〜

黒鉛

第1話

日本全国で百店舗以上構えている大人気チェーン店、本丸食堂。そのレストランの醍醐味は分厚い肉。そしてシャキシャキとして野菜。それらが合さって最高になる。


「黒豚のステーキを!」お客様の言葉で俺達シェフはステーキを作り始める。まずは下ごしらえで塩コショウと生姜、そして隠し味のにんにくを入れ焼く。そして10分かけて俺達は料理を作った。これが今日出す最後の

料理になる。明日も作るのだがそれでも思い出深い。昔はこの店も大きくは展開してはいなかった。それが今や、有名中の有名だ。

本当に昔の俺に言ってみたいわ……


最後のお客様がお帰りになって俺達は解散した。そしてまた明日早くから仕込む。その繰り返しが今の俺の幸せだった。


俺が店を出て家に帰るため信号を待っているとふとこんな声が聞こえた。


「危ない!!」危ない? なんで……

そう思い横を見ると俺が見たのはビルだった。その直後信じられない程の轟音と強烈な苦痛が俺を蝕んだ。

 動こうとしても体がいうことを聞かない。

 ふと目線を動かすとそこには一人の女性と車から出てきた一人のおじいさんがいた。    

 あぁ、轢かれたんだ…… 俺は理解する。だんだんと意識が遠のいていき、最後には意識を失った。最後に料理食べたかったな……

……………………………………………………


「起きるのじゃよ! 青年」俺はそんな子供のような声で目を覚ました。周りには知らない風景が広がりまるで現実ではないような

雰囲気を醸し出していた。俺は前に立つ子に喋りかけた。


「ここは何処なんだ? それと俺はどうなったんだ?」俺は轢かれた筈だ。夢な筈はない。この痛みやあの苦痛は俺の魂が覚えている。それじゃ此処は?そんな俺の疑問に答えるようにその子は言った。


「我は神じゃ。そして此処は冥界の間。お主は死んだのじゃ。もう、現世には戻れまい。そんなお主に朗報がある。異世界に能力を持って転移することはできないが、願いを3つ叶えてあげるのじゃ」神が

言った言葉で俺は喋った。


「まずは異世界の下見をさせてくれ!」俺がそう言うと一瞬俺の眼の前が明るくなった。

次に目を開けるとそこには様々な種族が共同している正真正銘の異世界だった……



俺が異世界についてまずした事はご飯を探すことだった。異世界の飯! 日本に無いようなケデモノもあればとても美味しい珍味な肉だってあるかもしれない……そう思ったのだが、俺は肉の存在を見ることが出来なかった。豚などの生き物はいるのに…… 俺は考える。何故肉がない? 俺は目の前にいた異世界人に肉の存在について質問する。


「なんで肉を食べないんだ?」その言葉に異世界人は言葉を返した。

「肉なんて固くて食べれないよ!」その言葉で俺は気付いた。肉が柔らかくなるという

常識がないのだと…… 俺は直ぐ様神の所へ戻る。そして言った。

「2つ目のお願いだ! 料理道具一式を本丸食堂日本橋店からくれ!!」俺がそう言うと目の前に料理道具一式が現れた。フライパンや調味料。それらすべてが俺の前に現れた。


出てきた一式をリュックに詰め、俺は神に言った。「俺を異世界に行かせてくれ!!」その言葉を聞いて神は言った。


「お主に幸せがあらんことを……」その言葉で俺は本当に異世界へ転移した……



異世界へ転移して俺は一つの問題に立ち向かっていた。道が理解できない事。 どこへ行けば良いのか全く分かりはしない。一体どこへ行けば良いんだろう? そう思っている俺を救ったのがのちに本丸食堂異世界店の

常連になる剣豪のロアナだった……

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