時間と青年
どーらく
時間と青年
チク、チク、チク...ボーン
四畳半の彼の部屋には今どき珍しい振子時計が壁に掛けてあった。
「なぜ1秒はこんなにも短いのだ?」
彼は生まれつき好奇心の絶えない青年だった。
そして青年は1つ思い立った。
「どうすれば1秒をもっと長く感じられるのか」と。
1秒の壁を超えるには光の速度を超える必要がある。
まさに無理難題といってさしつかえないだろう。
しかし青年はこう考えた。
本当に光の速度を超える必要があるのだろうか?
自分さえ1秒というものを長く感じられればいい。
彼は熟考した。
考えた果てにたどり着いた。
「振子時計から発する秒針音の感覚を意識的に引き延ばそう」と。
結果は分かっている通り、到底できなかった。
青年はふと思い立った。
「なんてバカバカしいことをしているのだ」と。
青年は他に好奇心が移ったようで、部屋を出た。
振子時計の音は青年に聞こえなくなっていた。
時間と青年 どーらく @doo-raku
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます