美女で最強なダークエルフになったおじさんは、仲間たちと一緒に成長する

くたびれた中年リーマンのおじさんがTS憑依転生した異世界のダークエルフの美女は底なしの体力と魔力を持つ世界最強でした。……という設定そのものは異世界モノではさほど目新しいものではない。

ただ、このまま俺TUEEE無双するかと思いきや、そうではないのがこの作品の面白いところ。

主人公のハルカはかなり気弱で臆病な性格であり、神様からの説明などのチュートリアルも無く、また身体の持ち主の記憶の引き継ぎも無い、まっさらな状態で森の中で1人でスタートすることになるので、最初は困惑し、ずっとオドオドしっぱなし。

やがて、自分の身体のスペックが相当高いことに気付くが、強さや名誉には全然関心がなく、安定した仕事に就いてコツコツ働いて目立たずひっそりと暮らしたいといういかにもおじさんな目標を心に抱くだけで、社会的身分を得るために冒険者に登録する。

しかし、本人は安定した目立たない生活を望んでいても、ハイスペックなハルカを周りが放っておくはずもなく、同じ日にたまたま冒険者の新人講習を受けた3人の少年少女に誘われてパーティを組むことになり、なし崩し的に危険な冒険者稼業に身を投じることになる。

最初は精神年齢的には親子ぐらい離れている仲間たちを保護者目線で見守っていたハルカだったが、次第に若い仲間たちに影響されて気弱で臆病な性格がだんだん積極的になり、冒険者としても人間的にも成長したいと願うようになり、振り回され気味だった力も制御できるようになり、名実共に一流の冒険者として大成していく! というのがあらすじだ。

だが、これはハルカという一人の人物のサクセスストーリーではない。仲間たちもまた、それぞれに壁にぶつかり、葛藤し、努力し、壁を乗り越えて成長していく。

これはハルカ、アルベルト、コリン、モンタナ、ユーリ、レジーナ……パーティメンバーの一人一人の成長と生き様を描く青春群像劇なのだ。

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