The Goddesses We Love.
Wedding - To the happy road.
こじんまりとしたレストラン。
貸切られたその場所には3人の男が立っていた。
照明は落とされ、レストランの中は彼らの後ろにある燭台に灯ったろうそくの火の光だけが揺れ、背中を照らしている。
3人は同じ顔をしていた。
右の男は髪を後ろに撫で付け伊達眼鏡をかけて真っ白なタキシードを着ている。
左の男は茶髪の髪を自由にしてヒゲを生やし白を基調とした軍服の様な物を着ている。
真ん中の男は肩を追い越した真っ直ぐな地毛で何故か女性用の着物を纏っていた。
「アマちゃん、マジで俺に着物を着せやがった」
真ん中の男、ユウが溜息を吐くと右の男、チカはぷっと吹き出した。
「アマさんってばユウの着物姿を本当に見たかったみたいだし満足するんじゃないかな?」
「いや、アマちゃんの事だから多分加速する……」
ユウの気持ち的にはorzの状態だった。
着物だったので身体が曲がらなかったが。
「似合うもんだなあ。ユウが似合うって事は俺らも似合うって事だよな……。マジか」
左の男、キイは自分の言った言葉を反芻して首を垂らした。
「それは、そうなるかも。俺らは三つ子だからユウが似合うならって事でイコールになる、かも」
そう呟いてチカも首を垂たらした。
「それよりも、みんなまだかな?」
「女性のドレスアップには時間がかかるからしょうがないよ」
「アマさんが問題な」
「問題って言うか、だいぶ良くなってんだよ。あれでも」
キイが肩をすくめるとユウは訂正をした。
やいのやいのと言い合っていると3人の反対側にある扉がゆっくりと開き3人の女性が歩み出てきた。
ひとり目は純白のドレスだった。
ピンク色の髪をくるくると巻き、まるでアニメに出てくるお姫様の様だった。
その少女としか見えない女性はチカへ微笑む。
チカも微笑み返し、その名を呼んだ。
「来て、シユ」
「行く、チカちゃん」
とととっと駆け足でチカの胸にシユは飛び込んだ。
ふたり目は真っ白のキトンだった。
上から下まで色素の抜けた肌と髪、まるでギリシア時代の女性の様だった。
その立像としか思えない女性はユウへと微笑んだ。
ユウも微笑みを返して、名前を口にした。
「アマちゃん。一緒に行こう」
「ユウと一緒ならずっと」
モデルがランウェイを歩く様に進みアマフミはユウの伸ばした手を取った。
さんにん目はアイドルだった。
ライヴでは見せた事の無い緊張をしたその顔はただの乙女だった。
その乙女はキイへぎこちなく微笑んだ。
キイは吹き出す様に微笑み、その名前を口に出した。
「ウタイ。テッペン目指そう」
「ッ……、ッス。キイくん、アイガトウございまッス」
両手両足をロボットの様に出し歩きウタイはキイの左腕の中に収まった。
火の揺れる燭台の奥に何時の間にか白服のヒトガタが居た。
「では、各々方。病める時も、健やかな時も、富める時も、貧しき時も、腕の中の者を敬い、愛し、その命の限り共に在る事を誓いますか?」
「「「「誓います(ッス)」」」」
「では、誓いのくちづけを」
「シユ」「チカちゃん」
「アマちゃん」「ユウ」
「ウタイ」「ッス」「名前呼べよ」「……キイくん」
同時に重なった唇が同時に離れ6人は6様に笑った。
天井から花弁が落とされ3つのカップルは互いを祝福しあった。
これからの路に幸がある様に、祝福された路である様に、命の限り共に在る事を誓いあって。
The Goddesses We Love. 初月・龍尖 @uituki
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