Junction 3.
料理が運ばれて来る。
ウタイは牛肉のステーキ、俺はビーフシチューだ。
「運転があるから飲めないけど。まー、乾杯」
俺が水のグラスをあげるとウタイもゆっくりとグラスをあげた。
「キイくん。早速なんでスがさっきのプロポーズは悪巧みに関係があるんスか?」
「大ありだ。結婚式を挙げる」
「けっ!!!!」
「ウタ、声がデカいぞ」
慌てて口を手で覆って左右をきょろきょろするウタを見て俺はにやにやと笑った。
「俺はプロポーズしたしユウはもう婚姻届けを出してるあとは、分かるよな?」
「チカさんとシユさんッスか」
俺は頷いて話を続ける。
「チカはもう腹を括ってるっぽいしあとはきっかけだ。だから結婚式を挙げる。俺ら3カップル合同で」
「……。うちの親は……」
「わーってる。多分、多分だけど俺らが好きになった女性たちは親と折り合いが悪い。こっちの親は癖がありすぎるから挨拶は今度にした方がいい。と言うよりも後回しにする」
「いいんスか?」
「いいんスよ。そう言った女を好きになるのが俺らみたいだし。本当は、俺の、俺だけにひとり占めしたい。独占欲って言うのかな? まあ、カナデ・ウタって言うアイドルの顔が好きだったんだ最初は、な」
俺の言葉にウタイの顔はウタになった。
「うち、を見ていてくれていたんじゃ、無かったんスか?」
「見ていたさ。アイドルのウタを」
「だったら、こんな」
ウタは左薬指の指輪を外そうと手を動かした。
「取るな」
俺はさっと手を動かしてそれを止めた。
「聞け。ウタ、ウタイ。俺は、アイドルが好きだ。これは多分、俺らの本質の問題だ。まあ、それは置いておくが、その中で初めて出会った異質なアイドルが、お前だった」
大きく広がる宇宙の様なウタイの瞳の中に俺が映る。
「可愛さでは他に劣る。だけど、それに有り余る様な個性があった。ウマが合った。相性が良かった。ずるずるとウタイと言う個性に引き込まれて……」
こんな関係だ。
そう言いながらウタイの左の手のひらに俺の左の手のひらを重ねる。
こつり、と指輪が当たる。
「結婚してもアイドル辞めんな。テッペン取ろうぜ。個性的なアイドルは癖になるぜ?」
「キイくん。アイドル業界舐めてんスね。どこのテッペン取るつもりスか?」
ウタイは涙ぐみながらそう言って大きな笑顔を咲かせた。
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