黒猫のぽーちゃん

@kid-yuki

第1話 黒猫のぽーちゃん


あ、まただ


また僕が横切ると人が青ざめる。


はぁーあ


いいよなー白猫ちゃんは

自由に走り回れて


僕なんてさー

僕なんてさー


人を横切らないように

いっつも遠回り

気付きゃあ、いっつも知らない場所さぁ


僕だって白猫ちゃんみたいに


子供がいっぱいいる公園でちやほらされたい!


僕だって

僕だって


自由に走り回りたい!


はぁー


あ、あれ? あ、やっちゃた

まただ

また人がこっちを見て青ざめている

子供かにゃ?


どうやら二人がかりで

一人をいじめていたみたいだ。


だけど、僕が横切ったのを見て、二人ともいじめをやめてどっかにいっちゃた。


うつむく僕にいじめられていた少年がこういったにゃ


「ありがとう。君のおかげでたすかったよ」


「君、名前はなんていうの?」


ぽーちゃん


『僕は黒猫のぽーちゃん』



「こちらこそありがとう

君のおかげで人の前に姿を現すことができる」


こそこそせずに



そうだ、それでいいんだ。

そうしよう


悪いことをやっている人の前を通りすぎればいいんだ



すると不吉なことを予感して

悪いことをやめてくれる



僕にしかできない!


やっと生きがいを見つけたぞぉ!




あ!今日もいるにゃ

悪い奴!


腰が痛くて立てないご老人を無視しようとしている青年


その前をにゃにゃー

と突っ走る


冷や汗を滴しながらご老人を背中にのっけたにゃー



横断歩道で信号無視をしようとしている若いカップル


そんな君たちにもこれ

赤で渡ったら不吉なことがおきるんだにゃーっと


気持ちよく通りすぎる


びくっとしたように横断歩道の手前でとまるカップル



次はタバコのポイ捨て発見!


にゃにゃーっと


タバコを拾って遠くの灰皿へ



二人のり自転車


にゃにゃーっと



ノーヘルバイク


にゃにゃーっと


あぶにゃい

轢かれかけたにゃ



ふぅー


今日もいっぱい仕事したにゃ


白猫ちゃんに負けないくらいいっぱい

走り回ったにゃ


明日はあっちの町にいってみよう


路地裏の自分の家に帰っていくぽーちゃん


その哀愁がある背中はこういっていた



「これって自由かにゃ?」






黒猫のぽーちゃん

おしまい













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