第31話 インドア

 真夏日。

 千葉の現在の気温は35℃となっていた。

 だがそれは外に出ればの話。

 今現在僕は冷えた部屋のなかで横になっている。

 時計を確認するともう8時を過ぎていた。

 起き上がり、窓を少し開けた。


「あっつ!」


 これ以上の言葉はでない。

 直ぐに窓を閉め、ついでにカーテンも閉じた。



 :_:_:_:_



 僕はリビングに向かうために部屋をでる。

 廊下が蒸し暑い。

 扇風機でもいいので置きたいくらいだ。


 少し暖かい階段を下りた。

 手すりも熱く感じる。


 リビングへ通じるドアを開けると。


「何これ寒っ」


 いまさっきの暑さよりも、リビングの温度の低さに驚いた。


「おはよう」と三葉。


「おはよう。ちなみになんだけど、エアコン何度設定?」

「ちょっとまっててください!」


 スタスタとエアコンを見に行った。


「16℃で強風」

「風邪ひくぞ、おい」


 そりゃ寒いわ。

 せめて弱だろ、てかの温度だったら弱で十分じゃない?


「だれだ、この温度と風量に設定したの奴!電気気代を考えろ!」

「「「「「「・・・」」」」」」


 ヒヒヒっ

 少し強めに言ったぜおら!


 誰も口を開かない。

 素直に謝れば終わることなのに。


 1人ずつ顔を見ていく。

 あれれー?イチの目が泳いでる。


「ん?イチくんが目を合わせないなぁ?」

「ふぇっ!?いやーめ、目が痒くて」


 あのー、少しふざけてるけど、そんな逃げようとするのかぁー?


 本気ではないし次からきをつけもらおうか。

 僕はイチの頭に手を置いた。


「まぁ、怒ってないから。次から気をつけること」

「───ずる」

「は?」


 顔を赤くして何言ってんだか。

 そんな恥ずかしくなるならやるなよ。


 周りを見ると、何故かみんな僕を見つめている。


「な、なに?」


 はぁーとため息をつき。


「鈍いですっ!」

「は?」


 理由も言わずに『鈍い』理不尽だろ。


 ※※※


 僕はインドア派だ。

 アウトドアなんてしてる奴の気はよく分からない。

 とくに夏だ。

 あんな蒸し暑いなかよく外にいられるなと思う。


「まぁ、僕はインドアなんで、アニメとか観るかぁ」

「うわっキモオタ」

「お兄ちゃんがキモくてごめんねー太陽」


 太陽が冷たいのはいつもなので、気にしない。

 気にしたら刺さる。


「じゃあ。すーくんと一緒にみよー」

「あっ、居たのかアリス」

「ヒドッ!」


 アリスは僕の肩をゴツゴツ叩く。


「てか、普通に痛い」

「あ、ごめんねーー」


 僕ははぁとため息をつき。

 Netflixで最近、流行りのリコリコを映す。


 みんなも途中から見始めて、いつのまにか全員観ていた。


 すると、携帯から着信音が聞こえた。


「だれだ?」


 瑠璃さんからだ。


『お出掛けしませんか』

「明日でもいいですか?」

『はい!』


 一瞬で明日に予定が入った。


「何処に行きますか?」


 既読が付いたが、少し時間がかかっている。

 長いな。


「電話で話しますか?」

『はい』


 瑠璃さんに電話をかける。

 ワンコール鳴りきらずに瑠璃さんは電話にでた。


「どうします?瑠璃さんの行きたいところとかありますか?」

『わ、私は水族館とか!』

「いいですね!」

『うんっ!』

「葛西でいいですか?」

『わかった!』


 どんどんテンションが高くなっているのが電話越しでもわかった。

 楽しみなら良かった。


 でも、外かぁー。

 インドアの僕は少し嫌だが。


 漢。椎名水は覚悟を決めた。


「覚悟を決めるようなことなのですか?」

「え、エマ。」

「どうかなされましたか?」

「い、いやー!外暑いなぁ〜て」


 エマに水族館の話をすると、この家全域に広がる可能性がある。

 広まったら面倒だ。


 エマはポカーンと首を傾げていた。







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義姉と義妹が僕を狙っている。 鈴柳飛 @suzuyanagi

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