まどろみのゆめ
れなれな(水木レナ)
第1話
めがさめると、へやはまっくらだった。
そして、うちにひとつきりのテベリがぴかぴかしていて、おとうさんがそれをみていた。
テベリにうつってたのは、きんじょのおにいちゃんなんかがやっている、ぼうでボールをたたくやつ。
よくしらないけど、よくころばないではしれるなあとおもっていた。
おなかやあしをじめんにこすりつけたりして、なんであんなにいっしょうけんめいなんだろう。
わたしがすなばのすなをくっつけてくるとおかあさんがいやがる。
きっとあのひとたちのおかあさんはとってもやさしいんだ。
いいな。
わたしもどろだらけになってあそびたいな。
でもまだちっちゃいから、のけものにされちゃうな。
はやくおおきくなって、テベリみたいにみんなでたのしくかけっこしたいな。
きょうのよる、ケーキをたべてねむっていたら、しろいおひげのおじいさんがへやにいた。
「おやおや、いいこははやくねむらないと、プレゼントをあげられないよ」
え? プレゼント?
「でもまあ、わたしはサンタの中では勝負好きなんだ。おじょうちゃん、ゲームをしないかい?」
ゲームってなあに?
「きみが、とある野球チームを勝利に導けたら、プレゼントをあげよう」
うん、いいよってわたしはいった。
「じゃあ、ちょっとの間、この袋の中に入っておいで」
うん。
「おじょうちゃんにナノチップを投与するからね、そうするとおじょうちゃんのコピー人間が思い通りに自由にうごかせるよ」
えー、なにをいっているのかわかんない。
でもなにがはじまるのかな、たのしみ。
わたしは、おじいさんのしょっていたふくろにはいった。
そこはぜんぜんしらないばしょだった。
「野球っていうスポーツのルールがロボットには入っているからね。それに一時的に知能があがる仕組みにしておいたから、十分楽しめると思う」
そこはイマジネーションの世界だった。
そこではわたしはスラッとした手足で背も高くて、バットとボール、ヘルメットの使いかたがわかるようになっていた。
「プレイボール!」
試合開始。
チームは後攻。
九回の表、二死満塁で相手方にホームランを打たれてしまったから、あせったけど、ん、延長戦になった。
そして辛闘し、チームは負けちゃったけれど、しあわせな夢を見ることができた。
「あらっ、お父さん見て、最近みなみがボール投げして遊ぶようになったの」
なぜかおかあさんがうれしそうなので、もうちょっとつづけてみる。
「二歳にしては達者だね」
「最近まっすぐ投げられるようになったの。見てみて」
「本当だね。いつかプロ野球選手になるかもな」
「この子が大きくなるころは、そんな時代も来るかもしれない」
ね、たのしみね? っておかあさんがわらいかけてくれるから、わたしはえいっとボールをなげた。
-おしまい-
まどろみのゆめ れなれな(水木レナ) @rena-rena
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
同じコレクションの次の小説
身についた錆/れなれな(水木レナ)
★9 エッセイ・ノンフィクション 完結済 1話
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます