第48話 再会と再開

「賢聖、うまくいったな」


セリアたちとの合流地点は街から離れた場所にしている、追手に見つからないようにするためだ


「ああ、それにしてもグラムさん本気ですごむと化け物みたいな圧迫感あるな」

「そうか?たぶん、ほかの聖人相手だとすごんだところでスキルで丸め込まれたと思うぜ、あの聖人が小娘で経験不足ってのも味方したんだ」

「もっと手ごわい相手だったらそもそも俺と口論にはならなかったさ」


俺は別にディベートのプロじゃない、治療はできるが交渉なんてからっきしだからな。だけどこの時代の人よりいい教育を受けているからその差と運が味方したんだろうな


「そろそろつくぜ」


そこには随分とあっていなかったような、数年ぶりにあった感覚だった。


「セリア!無事でよかった!辛かっただろう、すまない、助けるのに遅れてしまって」

「賢聖さん!いいんです、賢聖さんに何もなかっただけで十分なのに私を助けてくれて本当にうれしいです」


お互いの無事を確かめるように抱き合った。


「あー、ゴホン!感動の再開中悪いがいいかい?」

「クソアマ、せっかく再開したんだからここはそっとしておく場面だろ!」

「無事再開できたみたいだし俺は先にギルドに帰るな、これからギルド長としての仕事が山のようにあるからな」


気恥ずかしくなってセリアと離れた


「あっ」

「グラムありがとう!それに、アマルフィ、エレン二人とも本当にありがとう!おかげで無事に作戦はうまくいったよ!」

「いいさ、私も十分楽しませてもらったからね」

「二人はこれからどうするんだ?」


二人にはセリアを助けてもらうことを協力してもらったがこれからどうするのかは何も聞いて居なかった、二人とも冒険者だ俺たちの最終目標は軍事国家ルクゼンベに行くことだからこの国から離れれることになる


「私は君についていくよ、前にも言ったかもしれないが自分の命を危機にさらしても誰かの命をすくおうとする君の姿に興味があるからね。それにこの先どこに行くかは知らないけど用心棒はいるだろ?君ら二人だと不用心だ」

「そうか」


確かにアマルフィが協力してくれるなら心強い、戦闘だけでなく頭もキレるからな

セリアを見るが頷いてOKを出してくれた。どうやら俺が来る前に話をしていたみたいだ


「エレンはどうだ?お前は冒険者として名をあげてただろ?ドラゴンを倒したんだもんな」

「俺は、パーティーから追い出されたんだ賢聖さんに直してもらった怪我のことでな、今はその怪我が治ったけど戻る気はねえ、仲間を庇って怪我をしたその行動が間違ってるとは思わねえ、怪我をした人間をパーティーから外す理由も理解できる、だが、すぐはいさようならなんて言う人間とまたパーティーを組みたいとは思わ―んだ。だから、賢聖さんさえよければ俺も仲間に加えてくれ」


エレンがパーティーメンバーとのこと聞いたの初めてだけど、随分薄情なメンバーだったんだな

俺はエレンがスキル使ってるところ見たことないけどセリアがエレンのことをほめてたから気っと頼りになるんだろうな、というか普通に怪我してる状態でアマルフィと同程度の強さがあるって考えるとかなり化け物か


「そうか、じゃ、よろしく頼む、俺たちはこれから軍事国家ルクゼンベへ向けて旅をする」



「賢聖さん、旅を再開するのはいいんだがこれからどうするんだ?正直歩いて移動してもいいがあの聖人が追手を放つ可能性もあるぜ」


確かに、その可能性が十分にある。グラムがアナスタシアの相手をするといっていたけど追手が来ない可能性がないわけじゃない

でも、馬なんて乗れないしというか馬ないしどうしたもんかな


「川、下りますか?」

「セリア、それは命がけすぎないか?」


つい最近その川で命がけになったばかりだしな、危険生物がいないにしろ無理すぎる


「何も泳ごうってわけではありません」

「ああ、なるほど、船ということだね、でも船なんてそう都合よくあるものかね」

「そんなもん、次の街で調達すりゃいいだろ」


エレンが飛んだことを言った、調達ってどうやってするのかと聞くと「買えばいいだろ、と」エレンは冒険者で一流で通っている、金もあるしこういう準備には最善のものを用意するのが生存率を高めるために必要なんだと経験で学んだらしい


「怪我は賢聖さんがどうにかしてくれても命まではどうにもなんねー、命あっての物種っていうからな」

「ガキのわりにいい言葉を知っているじゃないか」

「クソアマはほんと揚げ足しかとらねーな!」


まーた始まった。こうなったらセリアが止めるまで待つか本人たちが飽きるまで待つことに俺はしてる、身体能力が違いすぎるからな、うっかり巻き込まれたら俺は跡形もなくなってしまう

そして唯一止めれるセリアは


「賢聖さん、このお茶おいしいですね!」


街を出てからべったりくっついてくることが増えた。多分、不安や恐怖から解放されてその反動で身近な人に安心を求めてきてるんだろうな

PTSDみたいな症状がなくて本当に良かった、この世界の事情がまだよくわかってないが正直牢屋に閉じ込められてる人の扱いなんて日本じゃ想像できないようなものだろうからな

俺は耐えれる自信はない


「セリア、少し近すぎるような」

「むぅ、賢聖さんは嫌なんですか?そうですか、いやなんですね、少し合わないうちに変わってしまいましたね」

「別に、嫌というわけじゃ」

「じゃあ、何ですか?」


と、まだ言い争っていたエレンとアマルフィに「二人ともうるさいです、今大事な話をしているんですよ?」とニッコリ笑った。

ああ、恐ろしい・・・


「あ、アマルフィさん、エレンさん、何か近くにいます」


セリアのスキル【植物採取】は健在だ。スキルの応用で植物があれば道や生き物の場所なんかも分かる優れモノだ。

アマルフィは【天衣無縫】で身体能力を劇的に上げるがリキャストタイムがデメリットとして付いてくる爆発力は非常に高いが使いどころがシビアなスキルだ。ちなみにスキルのリキャストタイムは俺の【リハビリ】のスキルで無効化できるから相性自体はすごくいい

そして、なんといってもエレンだ。エレンのスキルは【槍術】といってこの世界で○○術みたいな戦闘スキルは一般的で平凡なものとされている、強くも弱くもないものだがエレンはそのスキルで槍を使えば右に出るものがいないほどの力だ。相当努力してきたのが分かる、口は荒っぽいが純粋でいいやつなんだよな


あれだけ恐ろしかった魔物はアマルフィとエレンで簡単に撃退してくれた。次の街まで行くのは楽に行けそうだ!今までの苦労は何だったんだろうか

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もし、俺に人を救えるスキルがあったなら。 山田カドラ @kadora_yamada

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