第47話 セリア救出作戦④
アマルフィ、エレン、セリアが合流しそのあとは街の外まで抜ける。この時に使用するのは抜け道を使い、街の外で賢聖と合流する予定になっている。
正直言って
「俺たちはセリアを探せた時点で目標達成したと同然だぜ」
「どうしてですか?」
「それは、この馬鹿が異常に強いからさ」
エレンは立ちふさがる敵を軽口をたたきながら軽くいなす。
「それもあるがこっちには強い奴なんていねーよ、まじでやべーやつは聖人の近くで控えてるだろ。じゃないなら雑魚すぎるぜ。そんなんであの聖人を護衛できるなんてとても思えねーな」
「君はガキだけど馬鹿じゃないんだね、すまない、馬鹿は訂正するよ」
「てめえ、馬鹿にしてんのか謝ってるのかどっちだよ!」
「ん?どっちもさ、そんなことも分からないなんて君はやっぱり馬鹿なのかもしれないね」
ワナワナとエレンが震えるが
「アマルフィさん、その辺にしといてください。あなたのスキルが使えない以上エレンさんに頼らざるおえないのですから、私のスキルもこんな街では使えませんしね」
アマルフィはスキルの使用時間を終了しリキャストタイムに入っている、十分スキルを使わなくても戦えるがそれでもスキルを自由に使えるエレンの方が強い、そのためフォーメーションとしてエレンが前衛でセリアを護衛するのがアマルフィという立ち回りになっていた。
「むう、セリアに言われたなら仕方ないさっさと出るとしようか。だがそのガキが言うのは正しいもう私たちの山場は超えたよ、問題は賢聖の方だよ。なにせ私たちが裏方こそこそ街を抜け出すのに対して彼は街の入口を堂々と出ていく作戦になっているからね」
「なんでそんなことになっているんですか!?そんなことになったら賢聖さん死んじゃいますよ!」
「しょうがねーんだよ、賢聖さんが言ってきかねーしそれにこれが一番可能性が高いって話になったんだよ、賢聖さんが外で大立ち回りやってるおかげで向こうに腕の立つやつが控えてるしこっちは動きやすくなっているんだぜ」
つまるところ賢聖はおとりであり餌なのだ、教会が本当に始末したいのはセリアではなく賢聖だ、だからこそ賢聖が矢面に立つ意味がある。
それに大勢の前に立ちアナスタシアをと言い争っている間は賢聖は殺されない、なぜか、冒険者が守っているというのもあるが民衆の前で言い負かされたから殺したとあっては【聖人】のスキルがあっても民意は離れているからと踏んだからだ。
実際その目論見は当たっている、セリアを迎えに来なかったことで裏付けができた。
賢聖が死んでいるのであれば賢聖の死体とセリアを両方火あぶりにしているはずだからだ、それがない以上は
「賢聖さんはうまくいくのでしょうか」
「それを信じて待つのが俺たちの役目だぜ」
さあ、賢聖の最終決戦が始まる!
俺がやることはアナスタシアをここにとどまらせること、そうすればあいつの護衛はここから離れられないしその分救出がしやすくなる。可能性として強硬手段を取られることも考えたけどやっぱりそれは低いと作戦を考えたときに結論が出た。よしんば直接的な攻撃に出てもその時は冒険者が守ってくれる手はずだ
だから、後はアマルフィたちが救出成功のサインを出すだけなんだけど
近くにいた冒険者が小声で教えてくれた。
「賢聖さん、籠の鳥は無事に旅立ちました!」
これは決めていた合言葉、成功したときに言う言葉だ!
もうここにいる理由はもうない!さっさと退散する!グラムにアイコンタクトを送る。
「あなたは私たちを批判するだけで何もできていないではないですか!私たちは皆さんのために行動をしています、だがあなたは混乱を招いているだけです!口先だけの異端者は!」「ここで追放するべきだ!」
アナスタシアが最後の言葉を言おうとするのと同時にグラムが声をかぶせた。
「な!あなたは!」
「俺か?俺はここのギルド長をやってるグラムだよ、知ってるか?知らないわけないよな、何を隠そう俺はここの教会で【ヒール】を受けたんだからな、それで今もスキルが使えるんだよな」
「スキルが、使える、ですって?」
「ああ、どうしたんだ聖人様よ、俺がスキルが使えるのがそんなに不思議か?」
「い、いえ、そんなことは」
グラムは教会で【ヒール】を受けた際に後遺症を残し、その影響でスキルが使えなくなった。当然そのことは教会が知らないわけがない、俺の予想だとグラムは意図的にスキルが使えないようにさせられたと思ってる。教会は冒険者の力をコントロールするばかりに【ヒール】の値段を下げ冒険者なら受けれるようにしそして雑魚はできるだけ治すようにして力のあるものは意図的に調節して後遺症を残していた。
このことをなぜ、民衆の前で言わなかったのか、それは今回勝つことが目的ではないということとここで使うためだったからだ。
交渉するならとっておきのカードは持っておくべきだからな
ここでグラムという存在は確かにアナスタシアを動揺させた、なぜか、グラムがギルド長である以上にスキルの使用までがもとに戻ったからだ、おそらくアナスタシアは怪我は治せてもスキルまでは治せないと踏んでいた、だから他の冒険者の傷を治したといった時もそれほど動揺はしていなかった、だが相手がグラムだと話は違う。グラムはこの街で一番強い存在なんだ、出ないとここでギルド長なんてとてもできないからな
「いいでしょう、確かにこのシンテルク街のギルド長、グラムの言うとおりそこの異端者を永久追放とします!この街に異端者の死体があること自体がおぞましいですからね」
「そうか、では私が責任を持ってこの街から追放するぜ、そうだ、聖人様今後も変わらず冒険者を責任もって治療してくれるんだろうな?」
「ええ、もちろん。完璧というわけにはスキルの特性上難しいですができうる限りのことはしますよ。あなたたちはこの街の安全に一役買っていますからね」
ここで教会と冒険者との契約がなされた、グラムは今回の件を黙っている代わりに俺を街から追放することと冒険者の治療を確約してもらった。
これで堂々と出ていける!今回は準備をしていたからすべて手はず通りにできたな
「異端者、名前はなんという」
「もう会うこともないと思うが、一応名乗っておく俺は加賀賢聖だ」
「よく覚えておきましょう、この国ではもう悪さはさせませんよ」
なにが悪さだよ、本当に悪いのはどっちだ!
俺はグラムに連れられて街をでて、セリアと合流した。
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