天海として生きた明智光秀

龍玄

第01話 武士で落胆、計画破綻、それ発端/Rhythmic.ver

 肩の力を抜いて、肩脱臼。

 脱・基本、既存、向くまま。

 奇想天外、天海、展開、意味不明。

 不名誉だけは受けたくない。

 受けた、受けない、他人事。

 それでも気になる、それ、反応。

 ウイルス・クラスターは嫌。

 応援、お気に入り、クラスター大歓迎。

 感激、観劇、勘違い。

 本棚、これだな、応援パンデミック!



 「光秀様ぁぁぁ~」


 悲痛な叫びは、雨音と共に闇夜に消え去っていった。


 武士で落胆、計画破綻。

 運命、狂った本能寺の変。

 怪奇、不詳、結末疑問。その後、数奇。

 謎多きは、黒衣の宰相・慈眼大師・南光坊天海。

 家康、秀忠、家光と三代に渡って徳川を支える。

 家光の光と、秀忠の秀で、み・つ・ひ・で(光秀)。

 奇人、変人、はたまた怪人。

 知られていても資料がない。

 現れた時期が、とんでも、ない。

 ミステリアスな男を追い掛けて、早足で駆け抜ける。

 それでは、史実の謎、紐、解くよぉ。Oh. yeah.



 光秀は思っていた。自分に対する仕打ち、所業は許します。神仏、恐れぬ所業は許せない。約束事を守れぬ者を許せない。こんな男は、世の為、人の為になりません。


 生臭坊主、糞坊主。近江の坂本に、たむろして。最早、僧侶の姿なし。

 色欲を貪って、魚も鳥もバックバク。食えねぇ輩と化してます。

 金に困ると、糧米・灯油を横流し。法儀料、お布施もくすめとる。

 権威を笠に賄賂の要求。それを資金にあこぎな高利貸し。

 果てには、脅して、たかって、嫌がらせ。

 意に反する者は、ボカーンと殴って黙らせる。

 ありとあらゆる悪態三昧。腐りきった生臭坊主で、御座います。

 織田信長は、イエズス会の宣教師ルイス・フロイスらと関わりを持つが、異文化に興味があっただけ。信仰には全く関心を示さなかった。

 聖地・坂本、街道の拠点。佛へ冒涜、朝廷に嫌われる。厄介、面倒、この上ない。


 「聖地か…。糞坊主共め、信仰を嵩に五月蝿い奴らだ。朝廷の奴らも奴らそれを見て見ぬ振りしおって。白々しく物乞い地味たことも平気。ほんに気に食わぬわ」


 僧兵、悪行、探らさせて、群がる者を洗い出す。旅人、民衆、喰いものにし、甘い汁を啜る者たち。僧侶なのに子を設け、その子は不良となり群れをなす。悪親、悪子は自然の理。秩序が成り立つ余地はなし~。見るも無残な荒廃ぶり!


 「この町は腐りきっておるわ。このままでは、佛の道を後ろ盾に民衆を隷属する。更に朝廷への賄賂による支配が、まかり通るは必定。捨て置けば、腐敗政治が天下を席巻するのは明白なり」


と、信長は激高し、現状を強く、危惧していた。


 権力争い、険悪関係、将軍足利義昭と織田信長。

 義昭、越前・朝倉、北近江の浅井に手を回し、石山本願寺と気脈を通じ、比叡山延暦寺も呼応。延暦寺付近の坂本は、岐阜から京都へ向かう合流点。京都進行には、大きな障害。


 院生・堂衆・学生・公人から成る比叡山。聖地と言うより、腐敗の巣窟。


 天台座主は朝廷に働きかけ、寺領回復を図ったが、信長は首を横に振る。

 信長が、朝倉義景討伐に動いた元亀元年(1570年)6月28姉川の戦い

 朝倉義景、浅井長政は同盟を結び信長に対抗。

 8月26日、野田城・福島城の戦いで信長に浅井長政・朝倉義景連合は追い詰められ、比叡山に立て籠もる。後に、正親町天皇の調停により、信長と和睦。裏では、浅井長政・朝倉義景らは、甲賀の六角義賢、摂津・河内の三好三人衆と合流し、京都奪還を企てて、信長打倒を目指すのです。


 「信長め、仏を仏と思わぬ行い、許しがたし。成敗してくれよう」


 石山本願寺を率いる僧・本願寺顕如(本名:大谷光佐)も、信長のお膝元、尾張の門徒衆に号令を発し、信長打倒を図っていた。それを知った信長は、これに業を煮やし、元亀2年の正月の賀礼に訪れた細川藤孝らに向かって怒りをぶちまけた。


 「浅井、朝倉ども、いい気になりよって。あ奴ら、許さん。もう我慢も尽きた。今年こそ、山門を滅ぼしてやる」


 元亀2年1月2日、石山本願寺の僧・本願寺顕如と浅井・朝倉連合軍、六角義賢との連絡を遮断する目的で、横山城の城主・木下秀吉に命じて大坂から越前に通じる海路、陸路を封鎖する。


 「不審な者は、殺害せよ」


 信長の、固い決意と警戒心の現れ。

 対して、浅井軍は、5月に一向一揆と組み、姉川に進行し堀秀村を攻め立てる。木下秀吉の援軍にあい、はい、敗退。参加した長島一向一揆の村は、反逆の狼煙として焼き放たれた。6月12日、ついに信長、全軍攻撃の命を出す。


 「絵巻、一字も残さず、雲霞の如く、焼き払え~」


 山門の老若男女は、右往左往。「金を払うから、許してくれ」と、生臭坊主は命乞い。光秀、信長の命に忠実に、歯向かう者を切り捨てる。なのに秀吉は、逃げ惑う者を目溢しする。

 追い込まれた僧兵たちは、浅井家・朝倉家に協力し、延暦寺を軍事拠点にする。


 「我らに逆らうは、仏罰が下る」


と民衆を盾に、信長を脅し、怒りの炎に油を注ぐ。


 「遺恨一切残さず、哀れ、これ一切、無用なり」


 信長の強い意思は家臣に浸透し、腐りきった山門一味として、僧俗、智者、児童、上人を問わず、片っ端に斬首した。

 逃げる僧侶者たちは、日吉大社の奥宮の八王子山に立て籠る。それを容赦なく、焼き払う。葬った数は、1500~4000人。これが世に言う、比叡山焼き討ち。


 本当にそのようなことがあったのか定かではない。ただ、比叡山根本中堂は自焼、山王二十一社などは既に衰退していた。また、葬った亡骸も焼失された木片も発掘に至っていない。もし、比叡山が火の海と化したなら、京都や琵琶湖周辺に赤々と立ち上る火柱や煙が確認できたはず。その記述は乏しい。

 京の都の噂や話題、一切ない。比叡山焼き討ちそのものは、反信長の者が信長に汚名を浴びせるために、書き足されたものであると、考える方が妥当か。


 天皇を凌ぐ権力を振り翳し、傍若無人の振る舞い。仏法を説くことを忘れ、色事、金、欲にうつつを抜かす教団に。天に代わって信長が鉄槌を下す。仏への信仰に逆らう民衆の驚異を、信長自らが無力化する。


 焼き討ち直前に、地元国人、和田秀純などを取り組み、織田軍の湖東進路を確保するなど、懐柔工作を行ったのは光秀。信長の信頼を得た光秀は、戦後処理に取り掛かる。延暦寺、日吉大社は消滅。寺領、社領は、明智光秀・佐久間信盛・中川重政・柴田勝家・丹羽長秀に配分される。光秀はこの領地に坂本城を築城する。

 戦後処理の際、訪れた西教寺は見るも無残な姿と目に映った。


 光秀は信長より備中出陣の命を受けたあと、亀山(現・亀岡)に戻り、愛宕山に参詣して神意を尋ねた。


 御神籤、引いても引いても、凶が出る。


 「これは、神仏を軽視した罰なのかぁ~」


 人として生きる道を失わないと籤を引くと大吉、出た~。


 「そういうことか」


 この時、信長に従順であるべき自らの姿に見切りを付けた。


 「正しきものは正しいと言おう。それが人の道ぞ」


 光秀、自覚に覚醒し、己の道を歩み、始める~。


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