第4話 トゥルーエンド

紙面を捲っていた眼鏡の女性がため息を吐いた。


「で、百合乱暴されてバッドエンドですか……」

「はい、作品名は『連理』でどうでしょうか?」


 二十歳前後の、若い茶髪の女子大生らしき身を乗り出して尋ねると、眼鏡の女性は苦言を呈した。


「読後感を大切にしたいなら、ハッピーエンドにするべきですよ。そもそも自分をモデルに百合乱暴とかあなた、私に対してそういう歪んだ願望でも持っているんですか?」

「ご想像にお任せします」


 まるで小説のワンシーンのような会心の笑顔を浮かべる茶髪の少女。

 明るい白のライトに照らされたマノスの店内は、今日も客入り満員で忙しい。


                                   (了)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

私に百合乱暴する気でしょう? エロ同人みたいに! 宵町一条 @yoimachi2021

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ