第66話 最終回 樹子とみらい
樹子とみらいはYMOのアルバム『テクノデリック』を聴いていた。
「素敵なアルバムだね」
「うん。やっぱりYMOは最高よ」
「『体操』っていう曲、面白いね」
「あたしは『KEY』が好き。どの曲もいいけれど」
冷房が効いた涼しい樹子の部屋で、ふたりは音楽に身をゆだねていた。
「昨日のこと、後悔していないよね?」
「もちろんよ。若草物語はひとりも欠けたらだめ。みらいが言ったとおりよ」
「樹子が後悔していないのなら、よかった……」
「本当は少し迷ったわ。でも、みらいの言葉で心が決まった」
ふたりは寄り添って座っていた。
「樹子、あなたに出会えてよかった。もし樹子と出会えていなかったら、わたしはずっと暗い高校生活を送っていたかもしれない」
「みらい、あたしもあなたに出会えてよかったわ。あなたといると楽しい」
「わたしはつまらない女の子だよ」
「いいえ。きっとみらいは、あたしと出会っていなくても、楽しい高校生活を送れていたわよ。だってあなた、魅力的な女の子だもの。でもまあ、あたしと一緒にいたら、最高の高校生活を送れるわよ。ずっとあたしの仲間でいなさい」
「うん。そうするよ」
スピーカーはYMOの新鮮な曲を流しつづけていた。
樹子とみらいはいつまでも音楽を聴いていた。
バンド若草物語の軌跡 みらいつりびと @miraituribito
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