いけわんなもふもふが実はエロスなイケメンだなんて聞いてない。
妖精の絶大な加護を受けた小国の姫、
〈ヒューガ・アオイ〉は、ひとり森を彷徨っていた。
とある国で大きな邸に辿り着いたのだが、
おかしな事に、その邸の庭は夏と冬しかない。
更におかしな事に、その邸には犬しか住んでいない。
しかも喋る犬だ。
主の犬はとても大きくとても美しい犬だった。
アオイはひと目見てその犬を気に入った。
「もっふもっふさいこー!」と喜んでいたのだが実は、その主の犬は呪いにかけられた辺境伯の一人息子、人間だったのだ。
全ての女を虜にするほど美しく、色気のある顔をしていたが、二十三歳のある時、
己の傲慢さのお陰で、それはそれは恐ろしい獣に変えられた。
皆は恐れた。
マズルから覗く鋭い牙、人より優れた嗅覚と、闇夜に光るその瞳。
彼に見つめられれば、たちまち動けなくなる。
食われるのではないかという恐怖で。
しかしアオイは違った。
「もっふもっふもっふもっふ」と喜んでいる。
そうしてなんやかんやあって、夏と冬しかない庭で換毛期に悩まされていた邸の犬達は、犬好き少女に呪いを解いてもらうのだが……?
「も、もふもふ、も、もふもふは……?」
※ベースは、美女と野獣・夏の庭冬の庭
舞台となる国は大正時代風
平均的に、一話3000文字程度
元あった小説を改稿しつつ移設中。
なろう、アルファポリス様にも投稿してます