第4話 有栖川結愛

 お約束はしっかり守る。それが俺、佐藤さとう涼介りょうすけだ。昨日のメールでの会話中にMissionが発令された。


 『ぎゅーっ』


 俺は緊張している。今回は無意識ではなく、意識してやるからだ。意識してするのは初めてだ。だから緊張する。


 「なんて寝言で言ってるバカがここにいる…」

 俺が夢の中にいる時、寝言として妹に聞かれてしまった。

 「おい、起きろ。」

 何故か今日は口調が違う。俺なんか悪いことした?

 「おはよう。珍しいな。起こしに来るなんて。なんかあったか?」

 「なんかあったもなんの、お兄ちゃん彼女できた?」

 何故なぜ分かった?俺彼女できたって言ったっけ?いや言ってない。何故バレた?

 「い、いやぁ。こんなお兄ちゃんにか、か、彼女なんて、で、で、できるわけないだろ?」

 「やっぱいるんだ。今度会わせてよ! ちなみに名前は?」

 「言わない」

 「かわいい?」

 「もちろんだろ」

 「私と比べて⁇」

 おいおい答えづらい質問するなよ! これで結月ゆづきって言ったら涼風すずかに殺されるし、涼風って言ったら結月に殺される‼︎

 「ちょ、トイレ行ってくるわ」

 「あー!お兄ちゃん逃げたな⁉︎」


 そういや言ってませんでしたね! 私は、佐藤さとう涼風すずか!中学2年生でーすっ! 兄、涼介の妹やらさせてもらってます!よろしくお願いしまーすっ!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 「ってことがあったんだ。朝から怖ぇよ。うちの妹は」

 「あはははは。 さぁ、Missionを成功させようか!」

 

 ぎゅーっ


 「結月、そろそろ離してくれないか?」

 「やーだねっ! 一生離さないから!」

 「それは困る‼︎ ほら、もうSHR始まるぞ‼︎ 結月のクラスの担任、遅刻すると怖いだろ!」

 「うぎゃあ⁉︎⁉︎ それはだめぇ!‼︎ じゃあまた昼休みにね‼︎」

 そう言って結月はもの凄い勢いで廊下を爆走していった。間に合えよ!」



 昼休み、俺はいつものベストプレイスにやってきた。

 もちろん、そこには結月の姿があった。

 今、一番心配なのが、結月がどっかのサイトに「彼氏とのお昼食べるいつもの場所!」ってこの場所をあげてないかだ。ここは俺と結月のベストプレイスなんだ! 大切に保護する。


 「よぉ、結月。 4時間目早く終わったのか? 走ってきたはなしだぞ」

 「走ってきちゃったっ! だって、涼介くんから養分補給しなきゃだもん! 今1%だから早く補給させてッ‼︎

結月は俺に抱きつこうとしたが、何故か動きが止まった。そして一歩後ろに下がった。

そこには結月と同じ学年なのか?名札の色が結月と同じくオレンジ色の女子生徒がいた。


 「ゆ、結愛ゆあちゃん…」

 結月の声はいつもより細かった。


 「あんたが佐藤涼介ね。よくここまで恋が発展したわね。」

 日向ひゅうが高校第一学年可愛いランキングベスト8に入る美少女・有栖川ありすがわ結愛ゆあが何故か呼び捨てで話しかけてきた。先輩には呼び捨てしてはいけません!ってなんで俺が日向高校第一学年可愛いランキングを知っているかって? 結月から聞いたからだ! 決して変態だとは思うなよッ!

 「なんの用だ、有栖川」

 「何故結月があなたと恋人になったの?」

 「俺が思いを伝えたからだ。何かおかしいか」

 「何故結月が『私も、正直、涼介くんのことが好きだった。これからよろしくね』と言ったか。分かってないだろ。その理由は」


 一方、結月はおびえてるのか分からないが、違う要件ようけんで俺に抱きついている。充電と両立していただけるとありがたいです。


「なんだ」


「罰ゲームだからだ」


 有栖川ありすがわからげられた言葉は、俺の心に刺身包丁が貫通かんつうしたようにグサッときた。 冗談だろっと刺身包丁で刺された心と相談している。てか心まだ意識あるんだな。俺の心強い。


 「罰ゲームでもなんでも、そんなの関係ナシで結月のことが好きだ。誰よりも好きだ。この世界、いや、宇宙の人類の中で一番結月のことが好きだ。愛してる」

 「りょ、涼介くん…///」

 「有栖川、俺は結月を捨てたりしない。絶対だ。約束する」

 「高校生で付き合って結婚までいたるカップルはとても少ない。それでも?」

 「ああ、その‘‘少し’’の中に入ってやるよ。」

 「ふっ。あなたはものすごくいい人よ。結月のこと、幸せにしてあげて。結月、いつも佐藤さんのこと話してるのよ。嬉しそうにね。お互いの‘‘好き’’の気持ちは変わらないと思うわ。恋が浅くなることはないと私は思う。逆に、深まっていくわ。深めていって」


 「結月、絶対俺、結月のこと、幸せにする。これから一緒に愛を深めていこう」


「うん! 結愛ちゃん、ありがとう」

「全然いいよ笑 お前らは本当に、いいカップルだよ」

「えへへ。そうかなぁ」


 こうして、突然現れた日向高校第一学年可愛いランキングベスト8に入る美少女・有栖川ありすがわ結愛ゆあのおかげで、俺たちの愛は深まった。

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突然出会った美少女との物語 安城 宇渡 @sammafu

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