第29話 カレン無双 アレン無〇?


「俺達は、この世界の人間ではありません。女神様に頼まれて、

 別の世界から来たんです。」


「「「・・・・・・・・」」」


「え、え~と、、、」


「いや、お前さん方は悪くない。想像もしておらんかった話になって、

 ちょっと言葉が出んだけだ、、、」


「そ、そうですか。そのような訳がありまして、私達はこの世界の事が

 何も分からなかったんです。 移動してきた先が迷わずの森だったのも、

 今思えば運が良かったのでしょう。移動して直ぐにコミュニケーションが

 取れる方々と会えたのですから、、、」


「まぁ、春の暖かな日に出発したのに、まさか真冬の森の中に出るとは

 思わなかったけどね。」


「信じねぇ訳じゃないんだが理解が追い付かねぇ、、、どうやって

 お前さん方の世界からこっちに? それに、何でこっちの世界に来る

 必要があったんじゃ? そもそも、お前さん方の世界では女神様に

 何かを頼まれるような世界なのか??」


「それは、俺が女神様に授けられた力を使って。ただ、膨大な魔力が必要に

 なるから、簡単に使える力じゃないです。 なので、今の俺達には元の

 世界に帰る手段が無いです。」


「もちろん、目的があってこの世界を訪れたんですが、理由は知らない方が

 よろしいかと、、、 下手に関わると、命懸けの行動に付き合わせる事に

 なるかもしれません。知りたくない事実も知る事になるでしょう。

 それでも聞きたいならお話しします。」


「それと、女神様に関しては、私達の世界でも今回の様に頼まれ事を

 する様な事は無いと思います。それだけの緊急事態だと思って下さい。」


「ここに来た理由は、どうやら聞かない方が良さそうじゃの、、、

 それに、わし等には感じられんが、女神様は本当におられるんじゃな、、、」


「はい、それは間違いなく。ただ、女神様が創られた世界は、全てが同じ様に

 創られた訳では無いので、女神様のお力の届き易さが違うそうです。

 それは、特定の世界を優遇や冷遇する為ではなく、それぞれの世界を満たす

 魔素の濃度が違う為、魔素濃度が高い世界の方が女神様の力を顕現しやすい為、

 女神様のお力の感じ方が違うのだと思います。」



へぇ、そうなんだぁ。



「とはいえ、女神様の力が顕現しやすいといっても、私達の世界に干渉する事は

 ほぼ無いそうです。今回の様な事がなければ、、、でしょうけど。」


「でも、その魔素濃度ってのが違えば、女神様が公平に世界を見てくれていても

 それぞれの世界で違いが出来てしまうんじゃないのかい? 現に、俺達を救って

 くれた時の力を見たら、俺達では到底敵わない程の強さを感じたよ。」



と、ヒーブルさん。確かに、それだけ見てると不公平感を感じるかもね、、、



「確かに、魔法や発現している能力だけ見ると、不公平感を感じるかも

 しれませんがそれだけでは無いのです。 私達の世界は魔素濃度が高い分、

 魔法の能力はこの世界の方々よりも高いでしょう。でも、この世界の方が

 人の持つ技術力は上なんだと思います。私達は街に住んでいました。

 この村より人口も規模も大きい街だと思います。でも、お邪魔したこの村の

 様子を見れば、私達が住んでいた街よりも素晴らしい技術によって出来上がった

 村だという事が分かります。」


「きっと、この世界より魔素濃度が低い世界が有れば、魔法の力は更に低くなる

 でしょうが、更に進んだ技術の世界があるのだと思います。女神様は、そういった

 バランスで世界を創造されたのでしょう。」


「ただ、私達の力は女神様からある目的の為に授かったものであるので、

 私達の世界の全ての人が同じ様な力を持っている訳では無いですよ。

 私達、かなり強いはずです。」


「なるほど、、、よく分らんけど分かった! お前さん方は何か目的があって

 この世界を訪れた。そして、わし等に敵意は持ってない。それが分かれば

 十分じゃ。現に、ラルも助けて貰ってるしの。その礼、って訳じゃないが、

 わし等も出来る範囲でお前さん方に協力しよう。あくまで出来る範囲じゃがな。」


「ありがとうございます。私達はこの世界の事を知らな過ぎますから、

 この世界の話を聞けるだけでもとても助かります。 ただ、積極的に

 広めたい話でもないので、出来るだけ広げないで頂ければと思います。

 変なトラブルに巻き込まれたく無いですから。」


「確かにそうじゃな。まぁ、お前さん方の力を見てなければ冗談としか

 思われないかもしれんがね。何があるか分からんから、用心に越したこと

 はないが。」


「では、早速なんですが、この村には宿泊できる場所はありますか?

 アレンは大丈夫だと思うのですが、ラルさんの救出時に、私が許容出来る

 能力以上の身体強化を使ってしまったので、もうしばらくすると反動で

 動くのが辛くなりそうです、、、この世界のお金を持っていませんので、

 私達が素材で持っている金や銀とお金を交換して頂くか、熊と物々交換して

 頂けると助かるのですがどうでしょう?」


「いやいや、金を貰う訳にはいかんよ。お前さん方はラル達を救ってくれた。

 衛兵隊が責任をもって宿泊所は用意させてもらう。2~3日は泊っていって

 くれて構わんよ? 金や銀を交換は可能だが、熊を村で買い取った方が

 良さそうじゃの。村の人間も喜ぶじゃろ。」



村の宿屋を紹介してもらい、部屋に着いて程無くカレンは倒れこんだ。

疲れてるのに申し訳なかったなと思うアレンだった、、、

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俺は訳ありな妹と共に世界を並行移動する れいぴあ @sonicblue6564

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