第28話 カミングアウト

「と、いう訳なんですよ~。」


「「「・・・・・・・・」」」


「座って即何言ってんだ??? 訳分からん事言っとらんで

 とりあえず話せる事教えてくれや。 村の人間を救ってくれたんじゃ、

 悪い様にはせんよ。」


「おかしいな、こう言っとけば話しが進むって何かで見た覚えがあるのに。」


「アレン?おふざけはその辺にしておいて。すみません、私達が怪しく見える

 のは重々承知してます。敵対する気は毛頭ありません。ただ、、、」



カレンが困った顔でこちらを見る、、、う~ん、どうしたものか、、、

話もきちんと聞いてくれる、悪い人達じゃ無さそうだし正直に話すか、、、

その前に色々聞いてみるか。



「俺達が話しても、何というか、正直信じて貰えるか自信が無いんですよねぇ。

 同じ話を自分達が聞いたとしたら、間違いなく信じない話だと思うし。」


「何か面倒事に巻き込まれとるのか??」


「いや、そういう訳では無いんですが、、、まぁ、話す事は問題ないです。

 信じて貰えなくても、ここを出ていくだけですし、信じて貰えないから

 といって、何か暴力を振るう様な事も無いです。」


「私達の状況を話す前に、少し教えて頂きたい事があるのですが、それでも

 よろしいですか?」


「それは構わんよ。話せる事なら応えよう。」


「では、、、迷わずの森には神様の加護がある様な事を聞きましたが、

 この村では、神様って信じられたり信仰されたりしてるんですか?」


「迷わずの森は、それで何人もの人間が助かっとるから、この村の人間は

 信じとるな。それと、力を授けてくれる女神様も、一応信じられとるか。」


「? 迷わずの森に加護を授けた神様と、力を授けてくれる女神様は

 別の神様なんですか??」


「わし等には分からんよ。そもそも、女神様の恩恵に授かれるのは

 金を持っとる連中だけじゃろ。お前さん方は能力を持ってるんだから、

 平民とはいえ裕福な家庭のものなんじゃろ?? わし等より、お前さん方

 の方が女神様を知っとるんじゃないのか?」



う~ん、何でそうなってるのかはさっぱり分からないけど、この世界の

神様事情ってそんな感じなのね、、、 お金無いと恩恵を授かれないって何?

アドミニス様はそんな事望んでると思えないんだけど、、、



「確かに俺達は力を授かってます。でも、後で話しますが、力はここで授かった

 訳じゃないんです。 だから、力を授かるのにお金を取られるって話は、

 俺達にとってまったく分からない話なんですよ。結構取られるんですか??」


「どういった事情があるのか全く分からねぇが、結構どころじゃねぇよ。

 そりゃもうがっつり取られるな、、、 だから、わし等みたいに力を

 持たない人間が五万といるわけじゃ。」


「やっぱり、【女神岩】に触れることで何らかの力を得るんですよね?」


「? そう言われとるの。それはお前さん方の方が詳しいじゃろ。」


「そうですね、、、そこは変わらない様です。【女神岩】の管理は何処の国が?」


「あるのは隣国だが、管理してるのは国じゃねぇよ。教会勢力じゃな。

 こいつらが腐ってるから、バカみてえな金が必要になるんじゃよ!」



うへぇ、【女神岩】触れるためには、お金必要になるのかよ、、、

これは大問題ですよ! 



「分からない事だらけですが、今の話しでどうして先ほど貴族と間違われた

 のかは分かりました。そして、どうしてそうなっているのかは分かりませんが、

 神様の存在も、一応信じられているのも分かりました、、、

 う~ん、そうですね、、、これから私達の事を話しますが、信じる信じないは

 どうぞご自由に。信じて貰えれば嬉しいし、信じて貰えなくても、まぁ話が

 話だけに、仕方が無いかとも思います。信じてくれないからといって、力を

 もって従わせたり、こちらから敵対する様な意思はありません。ですが、

 私達の話しを聞いて、私達を殺そうとしたり、奪おうとしてくるなら全力で

 それに抗います。この村の方々なら、そんな事はされないと思いますけどね。」


「おおお、何だか大事になってきたが、わしは村に害をなそうする訳じゃないなら、

 特に何かする気はないぞ。お前さん方の強さの一端も見とるから、わし等が

 何か出来るとも思わんがね。お前らはどうだ?」


「俺もラルも、あんた達に救ってもらった。話の内容を信じられるかどうかは

 聞いてみないと分からないけど、少なくとも俺は二人に感謝しているし、

 敵対することは無いよ。」



他の方々も頷いてくれてる、、、今のところは敵対しなくても大丈夫な感じだね。

仕方ない、ここはカミングアウトしちゃいますか。



「え~と、では俺達の事を、、、俺達は、この世界の人間ではありません。

 女神様に頼まれて、別の世界から来たんです。」

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