第27話 人助け

「あ、俺達行きましょうか? プスっといっときます?」


「いやいや、君たち誰? そしてプスっとって! 熊だよ?熊!!」


「あ~、いや、ヒーブル、このアームベア、そこの二人が仕留めた

 みたいなんじゃよ、、、 それこそ、プスっと?」


「はぁ?? ニコラウスさん、何言ってんの!?」


「いや、なんじゃ、そこの二人は身体強化が使えるようでの、、、

 ほれ、コレも一人で引きずって来とったぞ、、、」


「んなっ!? マジでぇええ??」



胡乱な目を向けてくる、、、 そう思うのも仕方ないけどさ。



「いや、そんな悠長に話してる余裕あるんですか??

 足跡辿れば、そのラルさん、って方の所にたどり着けます??」


「あ、ああ。除雪されてる所から先の方に足跡が続いてるはず。

 その先でラルがアームベアと戦ってるはずだ、、、頼む、力を貸してくれ!」


「じゃぁ、ちょっと行ってきます。カレン!」


「ええ。」



二人は頷くと、身体強化の強度を上げる。

二人が周囲に放つ雰囲気が変わった。

見えないプレッシャーにニコラウスとヒーブルが息をのむ、、、


ドンッ!! という衝撃とともに、あっという間に二人が門から遠ざかり、

次の瞬間にはもう見えなくなった。



「「んなっ!!?!??」」



あまりの衝撃に呆然とする二人を残して、アレンとカレンは元来た道を

駆け抜ける。 足跡を発見した所までたどり着いた。


そこからは、気配探知も使いながら進む、、、 いた、あっちだ!!


見えた、、、怪我してる! やばい、、、こっちに引き付けないと。



「ラルさんですか?? ヒーブルさんから聞いて、助けに来ました!

 そこの熊、こっちむk

「エアリアルブレード!」



ザンッ!! アームベアはナナメに切断される、、、



「「・・・・・・・・・・・・」」


「大丈夫ですか? 私達はヒーブルさんから救助を頼まれたカレンとアレンです。」


「あ、ありがとう、助かった、、、」


「「ラルさん!?」」



倒れかけたラルさんを支える。酷い傷だ、、、左腕と左の太腿が

アームベアの爪でザックリ切り裂かれている。出血も酷い、、、



「アレン、、、」


「うん、助けよう。 ホーリーヒール 」



切り裂かれた部位が綺麗に合わさる様にイメージし、魔力を込めていく、、、

爪が触れた所はまず消毒、肉が抉られた所は魔力を込めて肉体を補填、

ゆっくりゆっくり傷をふさぐ、、、

眩しい光が収まると、ラルさんの傷は綺麗に消えていた。



「ふぅ、これで大丈夫だと思う、、、 でも、だいぶ出血してたから、

 しばらくは気を失ったままかも。 ラルさんは俺が背負っていくけど、、、

 コレ、どうしよう??」


「ちょっと焦ってやり過ぎたわね、、、」



カレンの魔法で真っ二つになったアームベア、、、

右肩から左わき腹にかけてスパっといっちゃってるから、内臓も一緒に

切れちゃってるんだよね、、、 ちょっと近寄りたくないな、、、



「ちょっとコレは持っていけないね、、、 勿体ないけど置いておこう。

 戻ったら、ヒーブルさんに伝えておくよ、、、」


「なんか、、、」


「ん?」


「慎重にならなきゃならないこっちの世界での方が、力を隠して自分を

 鍛えてた頃より滅茶苦茶にやっちゃってるわね、、、」


「「・・・・・・・・・」」


「なんか、身体強化を使ったって言っただけで、衛兵のニコラウスさん?

 変な反応だったよね? そのうえ、私は魔法でバッサリ。アレンは

 魔法で酷い傷を綺麗に、、、 この人起きたら思い出すよね、、、?」


「う~ん、こればっかりは仕方ないよ。助ける力があるのに見殺しには

 出来ない。 何か面倒な事が起きそうなら、さっさと次の街を探そう。」


「そうね、、、言葉は通じるのが分かっただけでも収穫よね。

 あとは、お金がどうにかなると良いんだけど、、、

 熊、村の人買ってくれないかな?」


「ふぅ、何か色々面倒事が待ってそうだけど、ラルさんを送らなきゃ

 ならないし、とりあえず戻ろうか、、、」


「そうね、、、」



ラルさんを背負いなら、トボトボ歩いた。




~~~~~~・~~~~~~




「お~い、お~い! ヒーブル、戻って来たぞ!!」



門の方から5~6人が駆け寄ってくる。



「ラル! ラル!! なぁ、ラルは無事か!?」


「ラルさんは無事です。怪我をして気を失ってはいますけど、、、」


「ああ、良かった、、、良かった! ありがとう、ありがとうな!!」



気を失ってるラルさんを、ヒーブルさんと一緒に来た衛兵さん達に受け渡す。



「だいぶ出血が酷かったので、しばらく安静に寝かせておいた方が

 良いと思います。」


「君らが止血してくれたのか、、、ありがとう。命を取り留めただけでも

 めっけもんさ。 傷が治るまではしばらくかかるだr・・・・んん??」



ラルさんを預けた人達が怪訝な顔をしている、、、

ボロボロに引き裂かれた衣服に、その下の傷一つ無い素肌、、、



「お前さん方、わしらの為にありがとう。アームベアはどうなった??」


「まぁ、その、、、今回はスッパリ、、、ですかね、、、」


「そうか、、、スッパリか、、、プスっの次はスッパリか、、、」


「持ってこれなかったので、戦った?場所に置いてきちゃいました。

 うちらはいらないので、必要だったら取りに行って下さい、、、」


「そ、そうか、、、お~い、お前ら、空いてる奴らで倒したアームベアを

 回収してきてくれや~。 村にくれるってよ~!」


「「「おおおお!」」」



なんか沸き上がってる、、、アームベアは結構貴重なのかな?



「まぁ色々あったが、今度こそ中に入ってくれ。歓迎させてもらうぞ。」



ようやく村に入って暖まる事が出来た。

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