最終話
それから一ヶ月、俺はもうイアン王子と入れ替わることなく過ごしていた。
理由は明らかだ。モナからキスされないから。ぐ 泣きそう。
ここ数日、カイセイがこの辺りを仕切ってるヤンキーに声をかけられるらしい。そいつらはこの俺を探していたと。ちょっと待ってくださいな。
俺は俺と、いやすなわちイアンと行動を共にしていたであろうモナに帰り道聞いてみた。
「ねえねえ モナ!イアンの時さ、不良と喧嘩とかまさかして無いよね?」
「あっ、あの立てこもり事件が一番凄かったから忘れてたけど。あったよ。『何を見ているのだ!』って何回かは」
マジかよ……。
それを聞いた俺は持ちの論オドオドしながら歩いていた。どうか、ヤンキーに絡まれませんように。明日から変装しよ……。
「おーい。安達、良くやってくれたな 俺の兄弟によ〜」
ああ来たよ。よりによってボスみたいなやつが。
「人違いっス 人違い」
「はー?!テメエだろ 俺が来たら急に逃げ腰かよ ダサっ」
「その女か?お前の守るべき人ってヤツは」
守るべき人……そうだ。俺は今この状況に置いてモナを巻き込んではだめだ。
俺だって無駄に人質やってきたわけじゃねー!!クソーっ
と気合入ったところに一発ごつい拳が腹を一撃した。俺の腹に……
「う……」
「ヒロ!」
ゴーンッ
俺は走ってそいつの顎下から頭突きを食らわす
そして再びごつい拳が腹と背中から入り地面に踏みつけられた。
「まいりました」
「もう絡むなよ」
「あい……致しません……」
そうだ。絡む必要なくケンカ売ったのはこっちかよ……はあ。
「大丈夫?ヒロ……」
「ああ モナ」
「やっぱりヒロだね。弱いもんっ」
弱い……ああ情けない。
モナは俺の前にしゃがみこんで、ちょっとパンツ見えそうだけど、いつもの尊い笑顔で俺の頭をなでた。
「あのさ、モナ……ずっとさ」
俺は決めていたんだモナに想いを伝えるって。今こそ痛みと紛れて言い出せそうだ。ずっと他の子に興味あるフリしたり、モナに興味ないフリしたり、いつもふざけてきたけど、本当は昔からモナだけを……。せっかく事故的にとはいえチューしたのにこのまま流れていくのは駄目だ。もう流されて生きるのは終わりにしよう。振られるとしても、それでも俺は伝えたい。
「なかなかカッコよかったよ ヒロ」
そしてアホみたいに笑いながら起き上がった俺に背伸びしながらモナはキスをした。
あーっ!!!!!
待って……ちゃんと言いたかったのに。大事な人はいつもいるとは限らないってイアン王子から痛いほど教わったのに……。せめて告らせて……。
◇
「ん?モナ 久しぶりだな。会いたかった。あ?!何故私を呼んだ?何か危険な目にあったか?!」
イアン王太子の転移先は『ニホン』なんだここは・・・ 江戸 清水 @edoseisui
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます