モナの口づけ

 モナの口づけを貰うため妹に策を講じてもらう為今私達は会議をしている。


「だから、訳わかんないけどちゅ~して欲しいってことね?モナちゃんから」

「そうだ。必然的にせざるを得ない状況はあるか」

「うーん 溺れて救命処置必要とか?あ、王様ゲーム?いやちょっと下品だな。うーん」

 駄目だ。全く当てにならない。何を言っているかも不明である。王様ゲームとはなんだ、王となり服従させるのか。それでは意味がない。


 その時だ私にひらめきが舞い降りた。ヒロの書物には意中のレディを招き目を閉じて唇を尖らせピヨピヨ小鳥のように何も言わずただただ口づけを待っていた。そしてついにそのレディは口づけをした。

 よし、それを真似よう。この国の術で挑む他ない。


「よしっ。決めたぞ今からモナを招くとする」

「えっあそう。それはなにより……」


 ◇


「また魔法の世界から連絡来たの?」

 部屋に来て茶と菓子を出したが、モナは魔法の世界の話ばかりを口にする。


「いや、今日はモナと居たくて呼び立てたまでだ」

「そう お招きありがとう」


 私は作戦通り唇を尖らし小鳥の真似事をしモナの方を向き目を閉じた。


「な、何してるの?!ちょっとヒロ」

 それでもやめない私にモナは「ほんとおかしな人っ」といい私の鼻をグイグイ摘んだのだ。


 思わず私の頬を涙がつたう。

 その言葉、鼻を摘むイタズラはセレナがしていたのと同じであった……。


「ちょっとどうしたの?!」

「ああ男のくせに情けない。愛した人が同じ事をよくしていたから。今は亡き愛した人。モナは本当によく似ている……」


 その時だ。モナは優しいヘーゼルブラウンの瞳で私を見つめ両手で私の頬の涙を拭った。

 そして、彼女の唇は私の唇に重なった。

 ありがとう モナ さようなら……。


 ◇


 ん?!戻った?というかコレ今はキス!!!してる。モナと俺がキスをっ!俺のファーストキス!!

 俺はそのままモナを抱き寄せながらキスを続けた。俺の大好きなモナ……会いたかった。

 俺がぐいぐい押して、モナが床に押し倒された形となった。

 おっぱい触ったら怒られるかな 唇を離し、モナがゆっくりと目を開いた。俺はさりげなーくモナの胸あたりに手を添えた。


 バチーンッ


 食らった……ビンタ。


「ごめんっモナ。だってチューしてたからさ」

「……ヒロ?」

「うん。ヒロだよっ無事に帰った!イアン王子も。きっと大丈夫。俺がちゃんと人質になって、もう平和に暮らしましょうってまとめてきたから」


「……本当に?ほんとに言ってるの」

 信じてよ。

 それから俺はモナが危険な目にあった時の話やイアン王子の奇行を聞いた……。


 俺はぎゅっとモナを抱きしめた。

「良かった……モナが無事で」

 モナは俺の目をじーっと覗き込んで呟いた

「たしかに、なんか違う。もっと眼力強かったもん。もっと勇ましかった」


「……え 残念ってこと?!」

「うん ちょっと残念」


 クッソーイアン王子め。あの金髪碧眼美男子!

 良いじゃねえかっ真似してやる。


「モナ、君はなんて美しいんだ。さあおいでっモナ」

「ちょっと違う。そんなキモくない」

「ひどっ」


 それから、モナは前より俺に対して何となく変った。イアン王子が変えちゃったのか、まさかイアン王子に恋したの?!モナ。

 朝、駅までは何故か腕を組んでくる。それに皆の扱いが


「ちょ、最近出ないの?あの王子ごっこ。みたいわー」


 先生まで、「さて、ヒロここはひとつ前へ出て問題解決してはいかがかな?」

 とか無茶ぶりが尽きない。


「なー!ヒロさ、ミカちゃんのフォロワーが何人で卒業させてやるみたいな話蹴っただろ?」


「ん?何それ」

 ああ、アホなかけ話か、もう壮絶すぎてそんなこと忘れてた。

「良いのかよ 卒業しなくて。ははは あ でもお前卒業はしたいって真顔で言ってたし」

 え?イアン王子が?!


「卒業……したいよ。それは大事な人としたい」

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