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長く暗いトンネルを抜けると外は

もう暗くなっていた。


蛍光灯の光が車窓に反射して先程とは違い

外を思うように見ることは出来ないが、

唯一街の灯りだけが夜空に輝く星の

ように瞬いて見える。


あの灯りは愛する恋人や家族と過ごす者、

一人で過ごす者、仕事や勉学に励む者……

様々な人々の営みの灯り。


あの灯りの下には何人の人が笑って過ごしているのだろうか、そしてそれを幸せと感じ

未来に希望を持って過ごしているのだろうか。


全てがそうという訳ではないのだろう。

きっと辛い者や嘆き悲しむ者、そして

私と同じような気持ちの者もいること

だろう。


胸の奥にちくりと針を刺すように……そしてじわりと重く鈍い暗い影が拡がっていくのがわかった。








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電社(仮) 桜上 青春 @sakurakamiaoharu

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