聖なる旅
蓮乗十互
聖なる旅
再び夫と
最初にたどり着いたのは、小さな港町だった。赤錆びた船の色がそのまま町の色となり、鉛じみた空気に狂った魚の臭いが
空を見あげると、黒い雲が海の方から侵食してくる気配。もうじき、ここは雨の牢獄になる。
男達が魚の水揚げをしていた。一斉に腹を見せ、貪欲そうに口をパクパクさせる大勢の魚達。中に一匹、見たことのない奇妙な魚がいた。深緑の鱗が雲間から差し込む鉛色の陽光にギラギラと輝いて、まるで己の存在を呪っているかのようだ。
「こりゃあ、だめだな」
一人の男がそういって、無造作にそれを放り投げる。それは不自然な弧を描いて私の足元に叩きつけられた。それはしばらく痙攣していたが、ふいにむっくりと目をひらき、私に微笑んだ。
「こんにちは、お嬢さん」
「こんにちは、お魚さん」
私は帽子をかるく持ちあげ、それに挨拶した。
「ご旅行ですか。どちらまで?」
「わからないわ、でも、そこに夫が待ってるの」
「ほう! するとあなたは、お嬢さんというわけではないのですね」
「ええ。でも、奥さんでもないわ。今の私はただの未亡人よ」
「ほう、ほう、ほう! それは興味深い。つまり、こういうことですか、あなたの旅の行く先には死んだご主人が待っておられると」
「いいえ、夫は生きているの。今は死んでいるけど、そこでは夫は生きていて、私を抱くの」
「すばらしい! あなたは未亡人ですらないわけですね。でも、それをいうなら、わたしだって魚のようでいて魚ではない」
「では、あなたは何ですの」
「ほう、そんなこともわからない?」
「ええ、わからない。教えて、あなたは誰」
「教えてあげましょう。わたしはね……」
そこまでいうと、それはクスクスと悪戯っぽく笑って目を細めた。
「わたしは実は、人間なのです」
「人間? とてもそうは見えないわ」
私は少し大袈裟に驚いてみせた。するとそれは満足そうに目をきゅるきゅる回して
「でも、わたしは人間なのです。この世でもっとも人間らしい人間なのです」
といった。
「それじゃあ人間さん、私はどこに行けばいいのかしら。どこに行けば、夫に会えるかしら」
「それはわたしにもわかりませんよ。わたしは人間ではあっても神様じゃない」
「でも、人間ってなんでも知ってるものなのでしょう?」
「ちぇっ、ばれてたのですか。あなたもお人が悪い。ええ、ええ、わたしは知っていますとも。そう、あなたもご主人と同じに死ねばいい。死ねばあの世で会えますとも」
「でも、死は暗く淀んでいるわ。闇が死人に粘りついて、一寸先も見えやしない。そんなところでは、たとい夫が私のすぐそばを横切ってもわからないじゃないの」
「ふむ、それじゃあ手はひとつですな。ご主人があの世で死んで、この世に転生してくる。それをお待ちなさい」
「いいえ、いいえ。転生じゃだめなの。私が会いたいのは転生した夫なんかじゃない、私と一緒に暮らしていた、夫そのものなのよ。イミテーションなんていらない」
「それではわたしの手にはおえません。そうだ、あちらの男達に尋ねてみなさい。彼らは七つの海を渡って、いろいろと不思議なものを見てきているから、きっとあなたの望みをかなえる術を知っているでしょう」
そういって、それは男達の方に泡を吹いてみせた。
なるほど、そうかもしれない。私はそれに一言礼をいって、忙しそうに蠢いている男達に向かって歩きだした。私の背中から、それが愉快そうに叫ぶ。
「あの人達はねえ、人間に見えるけれど、実は魚なんですよ!」
男達はわあわあと奇妙な叫び声をあげながら忙しそうにしていた。私は声をかけるのがためらわれて、しばらく、彼らのよく動くたくましい身体をただ眺めていた。
そのうち、一人の男が私に気づき、声をかけてきた。
「何か用かい、ねえちゃん?」
「聞きたいことがあるんだけど、いいかしら」
そういって私は軽く微笑んでみせた。すると一瞬、男は目を丸くして私の顔をにらんだが、すぐにニヤリと下卑た笑いを浮かべて
「ああ、なんでも教えてやるぜ」
といった。
その時、ふいに空がはじけた。ぱらぱらと水の塊が冷えた空気を切り裂き、私に、男達の剥き出しの肩に腕に、容赦のない殴打を行う。私の白いブラウスは雨に犯され次第に色を失って、救いを求めて肌に吸いついてくる。それに比例して、男の目線も吸いついてくる。
「で、何が聞きたいってんだい?」
「死者と出会うには、どうすればいいのかしら」
「自分も死ぬのがいい。それが一番手っ取り早い」
「あら、それならさっき、あそこのお魚さんに聞いたのと同じ答えだわ」
「魚? ああ、奴か。魚類のくせしやがって、自分を人間だなどとぬかしやがる」
「お魚さん、あなた達が実は魚だともいっていた。本当なのかしら」
私がそういうと、男達は一斉にギクリとなって手を休めた。どうやら図星だったらしい。
「と、とんでもねえ! 俺たちゃれっきとした人間様だ」
私は何もいわず、静かに男達を見ていた。雨足は一向に弱まる気配を見せず、すでに私も彼らもずぶ濡れだった。
沈黙が続く。気のせいか、彼らの目がだんだんと大きく、丸くなってゆく。これは──そうだ、魚類の目だ。何を見ているのか、何を訴えようとしているのか、どんより濁って光を失った目だ。男達の肩が次第に上下しはじめる。呼吸が荒くなっているようだ。一人がふいにあごをひくつかせた。一人、また一人と、耐えきれなくなったように男達はあごを蠢かせる。えらだ。彼らは呼吸が苦しくなって、本来のえら呼吸に戻りつつあるのだ。
「ま、どうでもいいことよね」
私は彼らに助け舟を出してやった。実際、彼らが人間だろうが魚だろうが、私には関係のないことなのだ。
「私の知りたいのは、死者をこの世に呼び戻す術、とでもいうのかしら。死んだ夫ともう一度会いたいの」
「──なるほど、それなら手はひとつっきゃねえ」
男は少しづつ呼吸をおちつかせ、絞り出すような声でいった。
「この海のむこう、ずっとずっとむこうに、ばんでろぐりやという島がある」
「ばんでろぐりや?」
「もともとは神の名前らしい。そこには死者が集まって、一緒に暮らしているそうだ」
「そこに行くには、どうすればいいの」
「わからない。それは誰にもわからない。ほかに用事はないか? ないなら俺たちゃ仕事を続けたいんだがね」
ないわ、というと、男達はほっと顔を緩め、再び忙しそうに働きだした。
ばんでろぐりや。聞いたことのない名だ。どうも信頼性に欠ける話だな。まあ、記憶の片すみにとどめておこう。そんなことを考えながら、私はぼんやりと男達の作業を眺めていた。
その時、ふと疑問が私の心に影を落とした。この男達が魚ならば、彼らが漁っているこの魚達は一体なんなのだろう? 魚が魚を漁る。そんな理不尽なことはない。ならば──そうか、あれは人間なんだ、彼らは人間を漁る魚だったんだ。
私がそれに気づいた瞬間、魚達が一斉にぐりんと目を剥き、私をにらんだ。口をパクパクあえがせて、なにかを訴えようとしている。
(おいで)
(おいでよ、私達と一緒に)
そうか、彼らは私を呼んでいるんだ。でも、だめ。私には行くところがある。
(そう、ならば早くお行きなさい。魚達があなたを漁ろうと狙っている)
男達の好色な目線が、透けたブラウスの胸元にまといつく。彼らの目は既に人間のものではなく、くるくると濁った色をたたえて私の身体を嘗めている。私を漁ろうと狙っているんだ。
私は少しづつ後ずさった。ここは、この町は、人間の町ではなかった。なんて迂闊だったろう! 早く次の町へ行こう。こんな所で死者と出会う術がわかる筈がない。
私はくるりと後ろを向き、早足でその場を去った。十分に離れたと思った所で振り向くと、男達の姿は、雨の帳の中で、まるで水中のようにぼやけていた。
次に私がたどり着いたのは、何の変哲もない工場町だった。昼間だというのに町中は閑散として、ただ大工場の機械音だけが空間を震わせていた。微妙な濁りを混えた白煙が、自己の存在を誇るかのように屹立する数十本の煙突から次々とあふれ出し、奇妙に透明な虚空に吸い込まれてゆく。微かに匂う塩素の香りは、あきらかにこの町そのものの発する香りだ。
商店街らしきところを通りかかると、ぱらぱらと女達の影が蠢いている。おそらく工員の妻なのであろう。そのうちの一人に声をかけてみる。
「死者と出会う術をご存じありませんか」
「はい?」
女は人のよい笑顔で私の目を覗き込んだ。
「ああ、なるほど。あなたは職を求めにいらしたのですね」
「いえ、ですから、私は死者と会いたいのです。私の夫なのです」
「ええ、ええ、わかりますとも。この町に来る人はみんなそうなんです。そこの門を入ってすぐの所に事務所があります。そこにいって聞いてごらんなさい。人手はいくらあっても多すぎるということはないんですよ、この町では」
どうも話がかみ合わない。私はその女に丁寧に礼をのべ、別の女に話しかけた。
「ああ、それなら工場長にお聞きなさい。彼がここの人事を担当していますから」
「いえ、私は職が欲しいのではないのです」
「ええ、わかっていますよ。亡くなったご主人とお会いになりたいと、そうおっしゃるんでしょう? 事務所はその門のすぐ内側ですからね」
女はそういうと、にっこり笑って軽い会釈をよこした。
仕方がない。どうせ他の女に聞いてみたところで、同じ答えしか返ってこないだろう。ともかく事務所に行ってみるしかあるまい。私は諦めて工場の薄汚れた門をくぐった。
事務所に入ると、貧相な初老の男が一人で帳簿をめくっていた。私が近づくとふと顔を上げ、うさん臭そうな目で私を眺めた。
「あの──」
男は引き出しから何やら書類を取り出し、私の方に押しやった。
「これに書き込んで」
「これは?」
「履歴書だよ。それと誓約書。工場長はじきに来るから」
奇妙にひしゃげた声で男がいう。私は溜め息をひとつついて、用件を説明しようとしたが、男はさっさと立ち上がって奥の部屋へ引っ込んでしまった。私は諦めて手近の椅子に腰を下ろし、工場長とやらを待つことにした。
部屋の内部は質素で、飾り気といえば労働週間のポスターくらいなものだった。開いた窓から乾いた風が舞い込んでくる。外の風景は淡く色あせ、妙に頼りない。今、一瞬、この部屋だけが真実存在しており外界は夢と崩れてしまっているのではないか。そんな考えに私は恐怖し、振り払うように履歴書を手に取った。
氏名、本籍、生年月日、学歴。ありきたりの内容だ。これはやはり、ひとつの儀式なのだろう。人が自分を捨て巨大な生物の一部になるための、これは手続きなのだろう。私は履歴書を元の場所に置き、誓約書を手にした。薄っぺらな紙に、表情のない黒インクで次のように印刷されていた。
────────────────────────
| 誓 約 書 |
| |
| 私は当○○工場に就職するにあたり、いか |
| なる場合にも生産品に愛情を抱き、また私 |
| 物化しようとはしないことを誓います。 |
| |
| ○○工場長殿 |
| (記名) 印 |
────────────────────────
奇妙な文面だ。生産品に愛情を抱くなんてことが、一体有り得るのだろうか。たといあったとして、それを誓約書で規制をする必要があるのだろうか。
それからもうしばらくして、工場長がやってきた。恰幅のいい身体を作業服に包んで、にこにこと明るい笑顔がその上にのっている。
「やあ、あなたですか。私が工場長の●●です。履歴書は書いていただけましたか」
「いえ、違うんです。私は別に、職を求めて来たわけじゃあないんです」
「ほう、すると、なんの用で?」
工場長は椅子にどっしりと腰を下ろし、ズボンのポケットからくしゃくしゃになった煙草を取り出した。
「この町に外から来る人は、大抵この工場で働くのが目的なんですよ。ほかには何もありませんからね」
「でも、私は違うんです。私は死んだ夫に会うために旅をしているのです」
「ほう、なるほど。でもそれは結局、ここで働きたいということではありませんか」
「何故そうなるのです? 私にはわからない」
私がそういうと、一瞬、工場長は私の顔を凝視した。そしてすぐに、ああ、という顔をして
「もしやあなた、この工場がどういう所か知らずにいらしたのではないのですか?」
「ええ。この町には今朝着いたばかりだし、町の名すら知らないのです」
工場長はくすりと笑って、上目使いに私を見た。
「ここはね、人間を処理したり、創造したりする工場なんですよ。よろしい、案内してさしあげましょう。おいでなさい」
私は事務所を出て、工場の建物に案内された。最初の建物の中では綺麗に磨かれた銀色の機械がうなりを上げていた。金属特有の香りに混じって、なにやら動物の臭いが視覚的印象にそぐわないものを主張する。
「ここは死体を身体と魂に分ける場所です。ほら、そこのコンベアで隣の倉庫から死体が運ばれてくるんですよ」
なるほど、壁の向こうから伸びているベルトコンベアは、裸に剥かれた大量の人間を捧げ運んでいた。真っ白い蝋のようなその死体は、銀色の祭壇のあんぐり開いた口に吸い込まれ、高周波のうなりの中で溶けてゆく様が幻視できた。
「この機械はね、我が工場の自慢なんですよ」
工場長は子供のような表情で私にいった。
「原理としては、遠心分離機の応用です。ブンブン振り回して、身体にしがみついている魂を強制的に分離させるわけですね。これは従来の呪術方式に比べ、約二十五%も効率的ですし、さらに、肉と骨の分離も同時にやってのけるわけですから、作業手順の効率化にもなるのです」
次に工場長が案内してくれた建物では、女工達がコンベアの傍らで手作業をしていた。
「ここは、先程の建物で大まかに分離された骨から、細かく肉をそぎ落とす所です。こればっかりは、手作業に頼りませんとね。うちの労働者の大半がこの職場で働いています。あなたも、ここで働いてみてはいかがです?」
「いえ、私は──」
「ええ、ええ、わかっていますとも。死んだご主人を探していらっしゃるのでしょう。だからこそ、就職を勧めているのです。ごらんなさい、この女工達の殆どが、あなたと同じような理由で当工場を訪れたのですよ」
「?」
「この死体の主な供給源は、やはり一般家庭になるわけですね。あまり表向きにはしておりませんが、相当数のご家庭が当工場に死体をお売りになっているのですよ。でも中には、肉親と別れたくないという人もおられるわけです。そういう人達がこの工場にきて、死者と共に働いているのです」
なるほど、そういうわけか。つまりこの女達は、私と同じように、愛する者を求めてここまで旅をしてきたのだ。しかし──。
「こら、何をしているんだっ!」
ふいに工場長が大声を上げ、つかつかと女工の一人に歩み寄った。見ると、彼女は工場長から顔をそむけるようにして、口を動かしている。工場長は太い腕を振り上げ
思い切り女工を殴り飛ばした。女工は数メートル宙を泳ぎ、死体の油で汚れ黒ずんだ床に叩きつけられ、血を吐いた。それと同時に、口から肉のこびりついた骨片が飛び出した。
女工は床にはいつくばり、すみません、すみませんと繰り返す。工場長は真っ赤な顔で彼女を睨み、叫ぶ。
「おまえは、契約違反をしたんだ! わかるか、それがどんなことか、わかっているのか!」
「でも、でもこれは夫なんです。私の夫なんです!」
「誓約書になんて書いてあったか、覚えているな。これは会社の物なんだぞ。それをおまえは私物化したんだ。社則に照らして、しかるべき罰則を与えてやるから、そう思え!」
その言葉を聞いた瞬間、女工の顔からすうっと血の気がうせた。ふらふらと立ち上がり、無言で、哀願するように工場長の顔を見上げる。工場長は自分の言葉のもたらした影響に満足したようにニヤニヤとただ笑って彼女を見ていた。
ちょっとこの扱いはひどいのではないか。私はそう思って、女工と工場長の顔を交互に眺めた。半泣き顔の女工と、意地悪い笑顔の工場長。その構図はまるで、ごう慢な神と神に許しを乞う哀れな堕天使の姿だ。
私が一言、工場長にとりなしの言葉をかけようとしたその時、弾けたように女工が駆け出した。あっという間もなかった。彼女はメタルの機械がぽっかりあけた暗黒の口に、なんのためらいもなく飛び込んだ。それは、死体から剥ぎ落とした肉を細かくかみ砕く獣の口だった。
「──馬鹿なことを。服を着たままでは不純物が混じるじゃないか」
工場長は平然とそういってのけた。
「罰則って、一体なんですの? あんなにいやがるなんて」
「ああ、命を与えるんですよ。永遠の命をね。絶対に死ねない身体になって、一生ここで働いて過ごすのです。いやあ、お見苦しい所をお見せしました。さあ、事務所に戻りましょう」
工場長に促されて、私は歩きだした。建物を出る所で振り返ると、機械から流れ出すミンチ肉の溜まり場で、先程の女工と彼女の夫らしい男の顔が、ぶよぶよとした原形質のかたまりとなって微笑みあっているのが見えた。
事務所に戻ると、工場長は再び私に、就職の意志はないかと聞いた。
「でも、私はこの会社に夫を売ったりはしていませんもの。自分の手で火葬にして、こうしてここにお骨を持っていますから」
そういって、私は骨壷をあけた。
「どれ、拝見」
工場長は慣れた手つきでひょいと白い骨片をつまみあげ、くんかくんかと匂いをかいだり、爪でコリコリ引っ掻いたりした揚句、
「ちょっとかじってみていいですか」
と聞いた。
「駄目です。返してください」
私は即答した。すると工場長は、いかにも名残り惜しそうな顔つきで骨を骨壷に戻した。
「いやあ、質のよい骨だ。これならいいせんべいができるのですがねえ」
「これは私の夫です。せんべいにはしません。私もここでは働きません」
「残念です。何かお役に立てることは?」
「死者と出会うにはどうすればいいか、ご存じですか。もちろん、ここで働くという以外に」
工場長は少し考え込んでいたが、やがて静かに首を振った。
「私共では、人間の肉体は扱いますが、魂は領域外なのですよ。分離機で魂が分離した後、一体どこに飛んでゆくのか、それは私にはわかりません」
「そうですか──どうもありがとう。私は旅を続けます」
「お気をつけて」
私は立ち上がって、事務所を出ようとした。その時、もし、と工場長が私を呼びとめた。
「その骨には、まだご主人の魂が残っていますね。大切になさい」
ええ、と答えて、私は事務所を後にした。
一体、私が旅に出てからどのくらいの時がたったのだろう。一週間か、一月か。いや、もしかすると既に数十年もの歳月が経過しているのではないか、そうでなければ一瞬の夢なのか。既に私の中で時間はその意味を失い、淡く脆く頼りない世界を、当てもなくたださまよっていた。
幾つもの町や村を、私は通りすぎてきた。しかしどの町にも私の求めるものは存在しなかった。そのうち、私は旅の目的を忘れてしまうのではないか、旅をすること自体が目的と化して、私は一生この薄もやのような幻想の旅を続けてゆくのではないか
そんな恐怖が小さなしみのように私の精神に寄生するようになった。
特にそんな気持ちが私を侵食するのは、やはり夜の闇の中で一人眠る時だ。温もりに抱かれて眠った日々は既に遠い、といって十六の小娘でもあるまいし、一人遊びにふけるわけでもない。私の性は、再び夫と出会う日まで、深いところで静かに眠っている。そうするうちに私は自分が女であることを忘れ、夫を求めての旅であることも忘れ、無限に繰り返される新たな幻想との出会いの中で自分を見失いそうになる。
そんな時、私は夫の骨を抱く。骨壷に入れるために砕かれ半壊したあの人の頭蓋を、胸の間に抱えこむ。素肌にあたる夫の感触は、冷たく、ざらついている。私は夫に温もりを注ぎ続けるが、頭蓋は決して私に温もりを返さない。
あなたは今、どこにいるの?
それは霧の深い日だった。私はある山あいの村へ向かう街道を歩いている筈だった。一体昼間なのか、夕方なのか、あやふやな光が私から時間を隠していた。それとも実は真夜中で、霧自体が人魂のようにぼんやり発光しているために明るかったのかも知れない。
霧は次第に濃くなり、私はついに道を見失ってしまった。手を伸ばすと指の形さえわからなくなる程の白い闇の中で、私は途方に暮れた。どうしよう、これでは歩けない。私は少しずつ、にじるように進んだ。
そのうち、私の手がなにか堅く冷たいものに触れた。近寄って目をこらすと、それは地蔵様だった。
「地蔵様、霧に巻かれて困っています。どうか道を教えてくれませんか」
地蔵様は、ぎょろり、と目を剥くと、いった。
「ほう、それは難儀なことよのう。して、どこへ行かれるのじゃな」
「はい、死んだ夫を探して旅をしています」
「ふむ。ならば、バンデロンの沼を探しておいでなのじゃな」
バンデロン。ばんでろぐりや。しかし、あれは島ではなかったか。
「知ってらっしゃるのですか」
「知らぬでもない」
「教えてください」
「条件がある」
「なんなりと」
「わしは久しく女陰を拝んでおらん。ひとつ、わしの為に開いてはくれぬか」
そういうと地蔵様は私を地面に敷いた。見ると、赤い前掛けの裾から陰茎が屹立している。石。ざらついたペニス。それは人のものではなかった。
地蔵様は私の下着をはぎ取ると、顔を淡い茂みにうずめた。灰色の舌がゴリゴリと私の性器をなぞる。痛くはなかった。しかし、快楽を感じることもなかった。ゴリゴリ、ゴリゴリと、石と石がこすれ合う音が霧の底に沈んでゆく。
「うむ、む、む。なんと、まるで石でできているような女陰じゃ。少しも感じぬと見える。これはしまったわい」
地蔵様は頭をかくと、私から身を離した。私の「性」は、もはや石になってしまったのだろうか。
「約束です。教えてください」
私は下着をつけながら地蔵様にいった。すると地蔵様は、さもすまなそうに「実はしかとは知らぬのだ。いや、手掛かりがないわけではない。ここから北へ行くと、死に魅入られた街がある。そこに行けば、何かわかるじゃろう」
「でも、この霧ではどちらがどちらなのか、見当もつかないわ」
「わしが案内をつけてやろう」
地蔵様は、胃の中身を反芻するように何物かを吐き出した。それは一匹の甲虫だった。地蔵様は甲虫の角に糸を結びつけると、その端を私に手渡した。
「これについてゆくがよい。死の街に連れて行ってくれるじゃろう」
「ありがとう。それじゃあ、さようなら」
「うむ。わしはまた、次なる女陰を待つとしよう。十年先か、百年先か──」
私は甲虫に導かれて歩き出した。少しして振り返ると、地蔵様の姿はもう、霧の帳に隠されて見えなかった。
ぶううううん。甲虫が私の先を飛ぶ。私は、甲虫が光っているのに気づいた。いや
正確には燃えていた。白い霧の中で、赤い炎がちろちろと辺りを照らす。ほんのりと暖かな感触が伝わってくる。
「あなた、燃えてるのね」
「僕は蝋細工ですから」
甲虫はぼそぼそと答えた。
「燃え尽きるまでの、短い命ですよ」
「まあ。可愛そうに」
「いいんです。僕は死ぬ為に生まれて来たんですから」
ぶううううん。
「火を消してしまえば、死なずにすむのじゃない?」
「火を消すってのは、死ぬってことでしょう?」
ぶううううん。
「死ぬのは怖いことかしら」
「死ぬのは幸せなことです」
ぶううううん。
「これからあなたが行く街では、多くの人が死にました。でも彼らは死ぬことを望んではいませんでした。だから彼らにとって、死は不幸なことでした」
ぶうっ、ぶううん。甲虫はもう、身体が半分ほど焼け落ちていた。火は既に彼の顔を覆い、どろどろと柔らかに溶かしていた。
「彼らは何故、死ぬことを望まなかったのかしら」
「それわああ、ああおおおおううう」
甲虫の口が溶けて、言葉が沈んだ。無意味な音の羅列。
「おうおうぉぅぉぅぉぅ──」
ぼとりと頭が溶け落ちた。後には糸を結んだ角だけが残って、線香のような小さな火を保っていたが、それもやがて、ふい、と燃え尽きた。
いつの間にか霧が晴れていた。私は、自分が街の入り口にいることに気づいた。ここが死の街に違いない。
それは近代的な都市だった。背の高いビルがいくつも道路に立ち並んで、私を見下ろしている。しかし、どの窓にも明かりはついていなかった。四車線の道路には車もなく、人の姿はどこにも見られなかった。
動くもののない都市の姿は、実に奇妙な静寂に満ちていた。私はその雰囲気に軽い嫌悪をもよおした。
「誰かいませんかあ!」
私は叫んだ。いませんかあかあかあかあ、と私の声がコンクリートの壁に木魂し、街の奥深くに吸い込まれてゆく。答える者はなかった。
この街の人間は死に絶えてしまったのだろうか。だとしたら、わたしは誰から次の街の情報を得ればいいのか。
その時、がさ、と路地で音がした。人? 私は路地に駆け寄った。しかし、誰の姿も見つけられない。気のせいだったのだろうか。
いや、違う。誰かが見ている。
私はビルを振り仰いだ。窓に人の姿はない。しかし、ビルの何十何百という窓のひとつひとつから、羨望と憎しみに満ちた視線が注がれているのだった。
(生きてる、生きてる)
風がささやいた。いや、それは死者の言葉なのか。
(生きてる。生きたい。死ね。死なない。生きる。生きる)
低い旋律が降ってくる。それは死せる者の呪詛だった。彼らは私を羨んでるんだ。私の生命力を妬んでるんだ。私は恐怖にかられ、駆け出した。
(死のう。死のう。一緒に。殺す)
追ってくる。私の後ろから、死者の魂が追ってくる。追いつかれたら、きっと私は殺されるだろう。
(死のう。死ぬんだ)
「だめよ。だめなの」
私は走った。追いつかれてはだめだ。私は生きて、再び夫に巡り会うのだ。汗が噴き出す。息が乾いて喉に痛い。横腹が重く苦しく、心臓は今にも爆発しそうに打っている。死者の呪詛は次第に私に近づいてくる。
もう、だめ──
不意に呪詛の言葉が消えた。あれだけ背中に降り注いでいた憎しみの視線も、突然に途絶えた。重苦しい雰囲気から解放され、私は転ぶように走ることをやめた。
そこはちょうど、道路の舗装が途切れて土が剥き出しになっている所だった。振り返ると、街のビルたちが悔しそうに私を見下ろしていた。おそらく死者の霊魂は、コンクリートの街並に封印されて、そこから外には出ることができないのだろう。
呼吸を整えて辺りを見回す。そこは墓場らしかった。見渡す限りの土の上に、墓標が無数に立ち並んでいた。
「やあ」
突然背後から声をかけられ、私は飛び上がった。見ると、一人の青年が背に墓標を背負って立っていた。
「死者に悪さをされましたね」
青年は笑ってそういった。白い歯がこぼれる。どこか、夫の雰囲気に似たものがあると私は思った。
「あなたは?」
「旅をしている者です。たまたまこの街の人が死ぬ時に居合わせたので、こうして墓を立てているのです。あなたも旅行者ですか」
「ええ。死者と出会う術を求めて旅をしているの」
「ほう──それはそれは」
私の言葉を聞くと、青年は表情を心なしか曇らせた。
「生き残った人はいないのかしら」
「みんな、死んでしまいましたよ」
「なぜ?」
「疫病らしいですね。最初の一人が発病してから最後の一人が生命を失うまでに、ほんの半日しかかかりませんでした」
「あなたは一部始終を見ていたの?」
「ええ」
でも、それならなぜ、あなたは死なないの。私のそんな口に出さない疑問を見透かしたのか、青年は続けた。
「僕は死ねないんです。永遠の命を持っているから」
「──あなたは、人肉工場の町からいらしたのね」
今度は青年は何も答えず、静かにうつむいた。
そうか、この人も愛する人を探して旅をしていたのだ。あの工場で愛する人の肉を食らって、永遠の命という刑罰を受けたのだ。
「この街の人々は、生への執着が強すぎました。生きることに一所懸命で、所有することに無我夢中で、死ぬことを忘れていたんです。だから急に死んでしまっても、成仏することも叶わず、生きた人間が来ると呪詛を撒き散らして寄り憑くのです」
私は墓標の列を見つめた。彼らの肉体は、この土の下で朽ち果ててゆくのだろう。
しかし、それは彼らの望まぬことなのだ。
青年は溜め息をつき、いった。
「人間は、どうして生命に執着するのでしょうね。もう病的といっていい程に」
「それは、自分の生命への執着? それとも愛する者の生命への執着かしら」
「その両方ですよ」
青年は私の目を真っすぐに見た。私も彼の目を覗き込んだ。
「あなたは、愛する人と出会えた?」
青年は黙って首を横に振った。
「私は、夫を探しているの。夫にもう一度抱かれたいの。骨も魂も、それだけでは温もりにならないわ」
「でも身体だけで魂のない相手ならば、出会わない方が幸せかもしれない」
「──あなたは、死者と出会う術を知っているのね」
「知らない」
「嘘。教えて、どうすれば私は夫に会えるの」
「よした方がいい。きっと後悔する」
「今あなたから教えてもらわなければ、私はもっと後悔すると思う。お願い、私はその為に旅をしているのだから。すべてを犠牲にして、旅をしているのだから」
青年は考えるそぶりを見せた。私は静かに青年の返答を待った。
「どんな結果になってもいいんですね?」
「かまわないわ」
「あなたも長旅をしてきたのだから、ヴァンデルグリートの名は聞いたことがあるでしょう」
ヴァンデルグリート。バンデロン。ばんでろぐりや。死者の集う伝説の島。それとも沼なのか。
「でも、あれは海を越えてゆかねばならないのでしょう? 私に海を渡る術はないわ」
「小さな島だとか、万年雪の積もる山奥だとか、いろんな伝説があるけれど、みんな嘘っぱちです。ヴァンデルグリートは、この世とは別の異世界に存在するのだから」
「それなら、なおさら行けやしない」
「簡単なこと、呪文を唱えればいいんです。ただし、ただひとつの願い以外の総てのしがらみを捨ててしまわねばなりません」
「今の私には、夫に会う以外の望みはないわ」
青年は私の目を覗いた。私は彼の目を真っすぐに見返した。
「いいでしょう」
青年は、ある一連の意味不明の言葉を口にした。
「それが、呪文?」
「ええ。これを唱えれば、ヴァンデルグリートの許にたどり着けます。ただし、それは生涯で一度きりしか叶いません。──後悔はしませんか?」
「後悔しても、構わない」
私は深呼吸をひとつ、ゆっくりと行った。会えるんだ、とうとうあの人に再会できるんだ。私の旅もこれで終わる。
私は呪文を口にした。
精神が揺れた。世界が揺れた。存在基盤を失って、自分が果てしなく落ちてゆく。
これであなたも、永遠の旅人だ──
男の声がそう語った。私にはその意味がわからない。言葉が、文節が、単語が揺れて定まらない。
すうっ、と頭から血の気がうせるような感覚と共に、どろりとした世界が私の前に展開した。そこにそれはいた。
「よく来た、人間よ。望みをいうがよい」
それは太い声で私にいった。いや、どう表現したらいいのだろう。既に私の五感は徹底的に解体され、それの存在も、それの意志も、無秩序に私に流れ込んでくる。私はかつてないイメージの奔流にとまどい、混乱した。
「望みをいえ、人間よ。我は死と生を司るヴァンデルグリートなり」
身体は精神の統御を離れ、断続的な嘔吐感と痙攣に襲われる。しかし、それを不快と思う精神は既になく、私は気が狂いそうになるほどの自己喪失に陥っていた。
「私の、夫に、会いたい」
それだけを口にしたのは、一体私のどの部分だったのだろう。
「よかろう」
光が弾けた。最後に残っていた微少な自己も、同時に消し飛んだような気がした──
──そこは寝室だった。
私は軽く頭を振る。後頭部に鈍いしびれが残っていたけれど、さっきまでの自己喪失感は嘘のように消え去り、奇妙に冷静な気分であたりを見回せた。
ここは、私の家? そうだ、私の家の寝室だ。戻ってきた。私は旅を終え、戻ってきたんだ。
その時、寝室のドアが開いた。私は期待を込めて振り向いた。そこに、ああ、あの人が立っている。
ただいま。
夫はにこやかに笑った。その懐かしい笑顔に、私は無意識の内に涙をこぼしていた。
「おかえりなさい」
震える声でそういいながら、私は夫の許に歩み寄った。夫は私を抱きよせ、唇を合わせた。
あの人の舌が私の口腔を愛撫する。舌が蠢くたびに、私の中で女が目覚めはじめる。脳が渦を巻く。長い間忘れていた悦びの予感が、私の背中を這い上がる。
私達はベッドに崩れ落ちた。舌を絡めたまま、あの人の手が私の胸に伸びてくる。愛撫の手順も昔と変わらない。しなやかな指の動きが私の身体を上下し、私は自分の身体が反応する様をうっとりと感じていた。
その時、からん、と耳元で何かが音をたてた。私は夫の手の動きに身を任せながら
虚ろな視線を音のした方にむけた。骨壷だ。まばゆいくらいに真っ白な壷がサイドテーブルに転がり、骨片がこぼれ出していた。
ふいに私の中で何かが切れた。
何故、骨がここにあるの? あの人はこうしてここにいるのに。
より熱を帯びてくる夫の愛撫とは裏腹に、私の中の女は急速に冷めていった。この人は一体誰だ。この人が夫なら、この骨は一体誰の骨だ。
私は夫の──夫の姿をした男の手を押さえた。おや、というふうに、彼は私の顔を見た。
「あなた、誰」
おれは、おまえの、おっとだ。男がいう。
「嘘」
私は男の腕を逃れ、ベッドを抜け出した。男は不思議そうな顔をして、私を目で追った。私は黙って、男の顔を見つめ返した。
違う。この男は、私のあの人じゃあない。そんな確信が私の中に生まれた。顔も、仕草も、確かに夫のものだ。でもこれはコピーだ。本物のあの人は、白く砕けた骨の中に封じ込められて、いつも私のそばにいたのだ。
私は骨壷の蓋を閉め、下着類の入ったバッグを持ってドアに歩み寄った。男が、どこにいくのか、と問う。わからない、と私は振り返らずに答える。そして、ドアをくぐった。
そこにそれは待っていた。ヴァンデルグリートと名乗る、奇妙な生命。今度は先程のような不快感はなかった。世界もはっきりしていた。呪縛の解けた空間の中で、それが最初の町で最初に出会ったあの奇妙な魚であることが分かった。すると、ここまでの旅の全てがそれの仕組んだ戯れだったのか。
「人間よ。何が不満だ」
「私は夫に会いたいといった。あれはコピーだわ」
「それは違う。あれは確かにお前の夫だ。細胞のひとつに至るまで何ら異なる部分はない」
「魂は?」
「魂?」
それはあざ笑うようにいった。
「人間よ。そのようなものは存在しない。あるのは有機物の固まりと、そこで生成消滅を繰り返す電気信号の情報のみだ。お前の夫は一度死んだ。だが私の力で、まったく同じ状態の生命が創造されたのだよ。彼は紛れもなくお前の夫だ」
なにをいっているんだ。あの人の魂は、いつも私のそばにいる。
私はそれを無視し、玄関にむかって歩きだした。私の背後からそれが弱々しく尋ねる。
「どこにゆくのかね」
「わからない。でも、私の旅はまだ終わっていないの」
「なんの為の旅だ。お前の夫は既に再生されたではないか」
私は答えず、玄関をくぐった。
「人間よ、お前は不可解だ!」
これからどこに行こう。既に夫と出会うという目的は瓦解したも同然だ。私は何故、なんの為に旅をつづけるのか。
「ねえ、私はどうすればいいの?」
私は骨壷に語りかける。君は人間を探しにゆくんだ、と真っ白な夫が応える。
人間を探しに。そうか、そうだったのか。私はついに、あの疫病の街で出会った男のことを理解した。かれも愛するものを求めてヴァンデルグリートと会い、私と同じ違和を感じたのに違いない。そして彼は、今度は人間を探して永遠の旅を続けているのだ。
「港町にいって、お魚の人間の仲間になろうかしら」
いいね。
「人肉工場の女工になって、死体に埋もれて生きようかしら」
それも、いい。
「でも駄目。私はひとつ所に止どまれない。そんなことをしたら、私も人間でなくなってしまうもの」
わかっていればいい。いつも俺が一緒だ。
私はその白い壷を抱き締めた。私と壷との間に、奇妙な温もりの交流が起こる。
そう、私は夫と共に旅を続ける。それは人間を求める旅だ。私が人間であり続ける為の、聖なる旅なのだ。
私は立ち上がると、無限の闇に向かって静かに歩き出した。闇が人間的なものに満たされ、私がその中にくるまって眠る時まで、私は立ち止まることはないだろう。
了
聖なる旅 蓮乗十互 @Renjo_Jugo
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