第56話 [異端者グループ]
朔改め、怪斗も無事に一般人ではなかったことを確認したその翌日。
遠足前日ということで授業が半日で終わったので、全員俺の家に集まっている。……いや、何故?
「なんで俺の家に集まってんだお前ら……」
もはや固定になってきた異端者グループ。俺を合わせたこの五人……いや、玲愛を入れたら六人か。
「ほらほら〜! さっくんもヤバいやつだったって聞いたから改めて自己紹介してもらおうとね!」
ソファでノンべりだらりとするソフィがそう言ってくる。怪斗もなぜか乗り気のようだ。
「おうおう、俺はいつでもやるゼィ?」
「俺の家じゃなくてもいいじゃないか?」
「バレる危険性が限りなく低いと思うからだッ!!」
「あっそう……。やれ、もういいや」
ちなみに今の怪斗は茶色の髪と目をしている。
まあ、怪斗にも聞きたいことがあるしちょうどいいな。唯花の過去に関連しているのかどうか。
「井伊野朔ってのは偽名で、俺の名は御秡如怪斗。理由は、暗殺者を生業としているからだ」
「……怪斗、そこでお前に聞きたいことがある」
俺は真剣な眼差しを怪斗に向け、低い声で言葉を発した。
「その暗殺者組織は……過去に桜路家を襲ったことがあるか」
一瞬、この空間が静寂に包まれる。唯花は横で小さく『師匠……』と心配気な声が混じった声が漏れていた。
そして、怪斗が口を開く。
「……俺たち暗殺者組織は無意味な殺生はしない。過去に殺してきた人間は組織に入る前に事前に覚えていた。そん中に『桜路』っつーのはなかったぜ」
「本当みたいだな。よかったよかった」
静寂に包まれていた部屋にドッと安堵の空気が流れ込んでくる。
これで怪斗が『殺してた』なんて言ったらどうしようかと思ったな。
『カイくんにこんなにお友達が増えて……。私は嬉しいよょょ……』
「ん……? 声、聞こえない?」
静音がアホ毛をピョコピョコと動かしてそう呟いた。
「お、言ってなかったな。俺の守護霊やってる如月玲愛だ」
怪斗がそう言うと、背後からドロンっという音とともに玲愛が現れた。霊感とか関係なく、みんな見れているようだった。
『カイくんの幼馴染兼彼女です! みんなよろしくお願いします!!』
「へー! あたしソフィア! レーちゃんって呼んでいい?」
『もちろん! えへへ、嬉しいなぁ』
ハイテンション同士、ソフィと玲愛は仲良くなれそうだな。……だが、コイツはちょっと微妙な感じか……?
「おい、唯花。なぜ震えながら俺の腕にしがみついているんだ?」
「ぼぼぼっ、僕がおばけさんにびび、ビビってると思ってるんですか師匠は! そんなのあるわけないじゃらいれすか……」
「涙目で言われても説得力がないな……」
コアラかナマケモノかと思うぐらい俺の腕をがっちりホールドして離れようとしない。
だがまあ、これからこのメンバーでやっていくような気がするから仲良くしてもらいたいものだ。
「ほら唯花、挨拶」
なぜ俺は引っ込み思案の子供に挨拶をさせようとしている親みたいな発言をしているんだか……。
ぽんぽんと頭を撫でた後、玲愛の方に向かわせた。
「え、えと……桜路唯花ですっ! おばけは苦手なんですけどこれからよろしくお願いします!!」
『うん、よろしくねっ♪』
優しい笑みを唯花に向かって浮かべる玲愛。しかし……
「ふぇ〜〜!」
「なんでここで泣きそうになってんだ!」
瞳をうるうると揺らし、泣きながら再び俺に抱きついてきた。
「だっておばけなのに優しいんですもん! こわいですぅ……!」
「なんでだよ……。あー、すまんな玲愛。この通りおばけが超苦手みたいだけど、人柄は全然大丈夫だと思うから気にしないでくれ」
『気にしないで! これから仲良くしてこっ!!』
玲愛がいい幽霊でよかった。
その後は、プチパーティー的なことを開いてお菓子をたくさん食べた。パーティーの合間、怪斗から耳打ちをされる。
「強谷、遠足はバスで行くだろ? 実はその途中で、最近事故死したトンネルがあるんだ」
「……出るってことか?」
「察しが良くて助かる。まあ幽霊になりたてだからそこまで力はないと思うから、こっちで対処させてもらう。一応報告をと思ってな」
「どうやって対処するんだ?」
俺が質問すると、怪斗の背後から玲愛が現れた。
『私にお任せあ〜れ!』
「俺は妖術や殺しなら得意だが、霊術とか使えねぇ。霊術を使えるのは玲愛だからな」
霊だし、まあ使えるんだろうな。……だが、俺はどうなんだろうか。
「俺って霊術使えないのか? なんとなくだが……お前に撃ち込まれたアレが使えるような気がするんだが……」
怪斗戦の最後らへんに撃ち込まれた弾丸のようなもの。あれは結局なんだったのか。それについて質問して見た。
「打ち込んだのは過去に死んだ少女の一部だ。名は――
「なんてもん撃ち込んでんだ」
「ごめんて……。そんで、彼女が使っていたのは〝
「…………」
反転霊術……〝反転〟か。これも運命ってやつなのかな……。
『最上くん、なんだか顔色が悪い?』
「いや、大丈夫だ。昔のことを思い出してただけだ。……それで、それは俺も使えるのか?」
「いんや、まだぜってぇ使えない。暴走するだろうからやめておけ。……ただまあ、〝目〟ぐらいだったら大丈夫だろ。目だけ反転させて、幽霊やら妖怪やらを視認するのはいいと思うぜ」
玲愛がどれくらいの実力を持っているのか見させてもらうとしよう。
【改訂版】最強賢者の逆転生 〜未知と強者を求めて転生したら男子高校生でした〜 海夏世もみじ @Fut1
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