第3話

ダッシュバイソンのパワーが聖一に流れ込んでくる。




ブラックホールにダッシュバイソンの亡骸をしまい、一旦町に帰る事にした。


まだ時間は昼前だったが


「1回帰るぅー!!服とか顔だけじゃなく、大量に飲んだからお腹の中も血だらけなのよぉー!」


とマホが泣き叫んだからだ。



―――――


門兵はマホを新手のアンデッドかと思って応援を呼び、兵隊20人に囲まれたのはまた別の話である。


―――――


冒険者ギルドにダッシュバイソンの素材を売り、大金になった。ギルドでの我々の評価も上がったらしい。


―――――


鍛冶屋でダッシュバイソンの角を素材に武器を作ってもらった。軽くて鉄よりも頑丈だそうだ。


聖一の新しい武器はピッケルという雪山登山などで使われる片手つるはしだ。


ダッシュバイソンの角でできたピッケルなら雪山ではなくても登頂していけるだろう。


そして同じ素材でロープが通せる杭もつくってもらった。


これで準備万端。装備も整え出発だ。


ジャイには、大きな風呂がついている人が寝られるロッジのような小屋を売ってもらった。



「そんなの買わなくてもうちにずっと住んでくださいですじゃ!」


と、喋るジャイを横目に、小屋ごとブラックホールに入れた。



ジャイの娘のムスメにシチューを作ってもらい、寸胴ごとブラックホールに入れた。


ブラックホールの中は完全に時間が止まっているので熱々のまま食べられるのだ。



(よし出発だ)



―――――


旅に出てから1ヵ月ほどたった。



途中見晴らしのいい丘だと思って休憩していたら、


それが丘級モンスターのジャンボミドリガメの甲羅でビックリした。


100mはあるだろう



ピッケルを使い甲羅の上まで登り、甲羅から走ってかけおり4回転宙返りの勢いそのまま頭にナイフをつきたてた。


あともう少しで倒せるところで、手と足を甲羅に引っ込められて半日くらい膠着状態が続いたが、




頭のところに槍の形をした力場を作った状態で、


甲羅のなかに焚火の煙を流し込んで、嫌がって頭を勢いよく出したところで槍が刺さり、脳しょうをぶちまけた。


脳しょうがマホの口のなかに入ってえずいたのはまた別の話である。



途中、人間にも襲われた。20人の盗賊だった。


人を蹴り倒した勢いで次の人に飛び移り、倒していった。ものの1分たらずであった。


人を殺したこと自体には吐き気を催したが、生きるためと覚悟が出来ているからなのか、悪人相手だからなのか、罪悪感は不思議となかった。


唯一あった罪悪感と言えば、蹴り倒した盗賊の内蔵が吹き飛んでマホの首にひっかかって締まり、泡を吹いて倒れてしまったことだ。


(本当に無事でよかった。)


―――――


ジャイから購入した大浴場付のロッジをそのままブラックホールから出せるので旅は快適だし、毎回血まみれになるマホも汚れを落とせるのだ。


―――――


そうこう1ヶ月ほど旅をしていると700mはあるであろうサンショウウオのような化物に出くわした。


足が4本、手が4本もある。


遠いところからだと山にしか見えなかったが、距離300mくらいでようやくモンスターであると気付いた。


(スカイツリー……いや、高尾山よりもちょっとでかいか。もしかしてこいつか??!)



「こ、こいつ本で読んだことある!丘級のさらに上!!山級!!伝説の魔物ビックバンベヒーモスよ!」


「説明ありがとうマホ!」


「こいつに壊された街や国は10や20ではないわ!さらに年々でかくなっていって、いつか倒さなければ世界をまるごと覆いつくしてこの世界ごと食べてしまうと言われているのよ!」


「そうか。だから倒してほしいのか。じゃあがんばらな、、、ヤバイ!」



刹那



巨大な右拳が振り下ろされた。


「力場ぁ!」


すんでのところで力場を盾のように使う。


すぐに左拳が振り下ろされた。


「力場!」また盾に使う。


(まずいこのままじゃ、いずれやられる。)


「マホ!支援魔法を頼む」

「ええ!!」

体にちからが漲る。


「30秒後ライトニングをあいつの目に当ててくれ!」

「え!??戦うの?!無茶よ!」

「良いから頼む!」

「わ、わかった!」



マホの回りに力場を出して円形の盾を作る。

(これでしばらく大丈夫だろう)





力場の盾を少し斜めに出して拳を受け流す。


地面に着弾した拳の親指あたりにピッケルをブッさした。


「よし!」


ピッケルを踏み台にしてジャンプ。


空中でロープを引っ張り、ピッケルを引き抜いてさらに手首の手前にピッケルをさす。



動いてしまうので振り落とされそうになるが、ピッケルと杭と力場をなんとか使って肩まで来た。



肩からジャンプ!空中で横回転の捻りを加えて飛ぶ。


なんとか耳たぶをつかむ!耳たぶから顎までジャンプ!勢いのまま顎にピッケルを刺し込んだ。


「ライトニング!」


一瞬怯むビッグバンベヒーモス


「今だ!」


(よし!でかい化物は中から倒すと昔から相場は決まってる!!)


と根拠の無いことを考えながらビッグバンベヒーモスの大きな口のなかに飛び込む聖一であった。


―――――




食道であろう広くて長いウォータースライダーみたいなところを滑り降りていく。


そして開けた空間に放り出される聖一。


「うわっ!いててて」


回りを見渡す。


「なんだこれ?巨大な空間に遺跡があるぞ。」


ビッグバンベヒーモスの中には遺跡が広がっていた。


「すごいな。でも、まずは倒さなきゃマホがやばい。お腹の中から外に風穴を開けてやる」


ピッケルを胃袋であろう地面に突き立てるが弾かれる。


「固いな」


すると頭の中に『遺跡の、、な、か、、へ、、』


優しい声が頭に鳴り響く



聖一は遺跡の中へ進む事にする






遺跡に行く途中に巨大な池のようなものがある。


砂ぼこりがその池に呑み込まれるとシュワシュワと溶けた。


(胃液か?!)


ブラックホールで胃液を吸い込みながら進んでいく。




巨大な遺跡にたどり着く。




祭壇のような所に続く橋がある。




巨大なドームの真ん中を通るように巨大な橋があり、周りには20mほどの石で作られた巨大な阿修羅像がずらーっと数十体並んでいる。




祭壇には光輝く肉片が浮かんでいる。


、、よく、、きてくれましたね、、



これは!



(この肉片から響いてくる!この声は、パワーを授けてくれた!!優しい声の人!!!!)





…意識が混ざりあう。





、、ええ、、わたし、、、この世界の守護天使であるわたしは、、、、ビッグバンベヒーモスにやられてしまった、、、、



、、、そこで最後の力を振り絞り遺跡を作り、、、パワーを増幅させて、、あなた達を呼んだの、、


(そうか、だから俺とこの子を呼んだのか)


(そうだったんだね。よくわからないけどボク会えて嬉しい)



、、、うふふ可愛い坊やたち、、、、、







、、、さあ、、、今こそ3人の力を合わせましょう、、、


(3人合体だ。再び意識が俺に統一されていく感覚がする。)



―――――


優しい声の正体はビッグバンベヒーモスにやられてしまった守護天使の肉片であった。


守護天使と聖一と少年はブラックホールの中で混ざりあい、合体する。


―――――



聖一!少年!守護天使!



全てが重なり合体していく。






「悪いなビッグバンベヒーモス。合体した俺にはお前なんて敵じゃねぇ。」


胃の中に残りの力場の全エネルギーを使って巨大な杭の形を生成する。


杭の矛先は脳!


「どりゃあーー!!!!」


杭の裏側を足場に踏み込んで飛び出す聖一!



お尻に向かって胃を押していく!




3人のパワーが重なる!!




胃の内側から食道を通り、脳に向かって杭が刺さる!!!



ついには巨大な脳をぶちまけながら杭はビッグバンベヒーモスを貫いた!!!!



「「「よっしゃあ!!!」」」




脳みそでできた海で、マホが溺れかけたのは言うまでもない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

(読み切り版)異世界巨大生物VS元アスリート トム・ブラウンみちお @tom_mitio

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ