手遅れの友人が語る小悪魔の環境1
ホームルームも終わり、迎えた放課後。お昼前ということもあり、腹はペコペコ。
俺は空腹を満たすのも〝兼ねて〟、前の席にいる新藤に声をかける。
「新藤! この後、飯食いに行かね?」
「ごごごごご飯でござるかッ⁉ せせせせ
新藤は目も当てられないほどキャラが崩壊していた。一昔前のオタクを彷彿とするような言動は、速筆の小説家も脱帽するスピードで彼の黒歴史というノートに
俺のせい? という疑問は未だに残っているけども、だからといってこのまま放置しておくわけにもいかず、策もなしに見切り発車で新藤を誘った。
「おふおふ」と気色の悪い息遣いをしている新藤に、俺は「そ、そうだけど」と引き気味に頷く。
すると新藤は「おふうううう!」と奇声を上げ、勢いよく立ち上がる。
「せせせせ拙者でよければお供しますとも! どどどどどこまでもッ! …………で、おなごは来るんでござるか?」
「いや、俺とサシだけど」
「そそそそそうでござるか……ララララブコ目黒川奏多主人公氏は拙者と……その、真っ昼間からそういうことがしたいんでござるね? ――して、拙者は受けか? 攻めか?」
「「「「――え?」」」」
新藤のデリカシーの欠片もない声量に教室内が静まり返る。
好奇や侮蔑、様々な視線が俺達に寄せられてくる。
「い――今のは違うからね? 俺達はそういうんじゃないからマジで! ……おい新藤、さっさと行くぞ!」
「なななななるほど! つまり本番まで伏せておくってサプライズ寸法ってことですなッ! いやぁ、初めての経験故、緊張いたしますなぁ!」
「ほんと黙っててくんないッ⁉ ――ごめん皆! ちょっと今日の新藤、被害妄想が半端ないみたいで……でも俺達は白だから! そこだけは誤解しないでね! それじゃお騒がせしました~」
俺は新藤の
――――――――――――。
高校近くのファミレスに場所を移し30分……俺の心は折れかけていた。
「おほ! ここここのフライドポテトおいちいでございますな!」
対面に座っている新藤はフライドポテトを鼻の穴に突っ込みながら、そんなことを言う。店員さんの視線が怖い。
しかしながら俺には新藤の奇行を止められそうにない。手の施しようがないとはまさに。
俺は諦念の息を漏らし、頬杖をついて窓の外に目をやる。
「なあ……緑川って虐められてるのか?」
気になっていたことだった。あの時、緑川の口振りから察するにああいった事態は初めてではないようだったし。
それを新藤に聞いたところで真面な答えが返ってくるわけないとはわかっていた。じゃあどうして? ……もうどうでもいいやって気持ちが円滑油になって口から滑ったんだろう。自分でもよくわからん。
「……………………」
騒がしかった新藤が途端に静かになる。
フライドポテトを穴という穴に突っ込んで窒息したのかな? と俺は横目で見ると、新藤は深刻そうな顔して机上に視線を落としていた。
『本日限定!彼氏役を承ります!』とネタツイートした結果、3人の女子が食いついてきました。しかも限定のはずなのに計画的にご利用する気満々なのですが。 深谷花びら大回転 @takato1017
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