西暦79年8月24日——
イタリア・ナポリ近郊に実在した古代ローマの港湾都市ポンペイ。
ヴェスヴィオ火山の噴火によって、一昼夜降り続いた火山灰と火砕流により滅んだことは史実のとおりだが、
その当時を生きた人々にとっては、きっとこの世の地獄のような光景だったことだろう。
そんな地獄を、神から与えられた能力で「預言」した少女、アティア。
迫害を恐れて、その素養を隠して生きてきた少女の稀有な能力は、
成長とともに、
否応にも注目されていくことになる——良い意味でも、悪い意味でも。
本作は、神も人も巻き込んで繰り広げられる、
歴史と神話が絡み合った古代ファンタジースペクタクル。
アティアを巡る愛憎渦巻く人間模様に、
古代ローマの神々が賑やかに彩りを添えるだけでなく、
当時のリアルな生活ぶり、風習、習慣といったところも、
丁寧に描写されていて、見どころが多くて読み応えたっぷり。
じっくり読み進めてほしい良作です。