第23話

 大学生活を満喫しつつ、多忙極まる日々を過ごしてきたが今日で一旦区切りをつけれた。

 何故なら……今日から夏休みだからだ。


「……なのに」


「今回ばっかりは……運が悪いとしか言いようがないわね」


「……理不尽ここに極まれり」


「理不尽ではないわよ」


 何故こんなに落ち込んでいるのか。それは今朝届いた一通のメールだった。大学からの。

 察しがついただろうか。そう、呼ばれたのだ。入院分の補習で。


 ───────クソがっ……!!!!!


「荒れてるわね〜」


「……ずるっ」


「言い方キモいわ」


「………」


 ……なんか今日の沙耶香が辛辣過ぎる件について。

 いや、そんなことを思っている暇なんかないのだ。問題はどうやってこの補習を乗り切るか、だ。


「でもなぁ……」


 今日の補習内容を思い出してまたため息を吐いた。やらなくて済む、そう思っていた物を今日やるからだ。地獄すぎる。


「ほら、シャキッとして、さっさと行く!」


「……やだ!!」


「行けっ!!!!」


 大声でそう言われちゃしょうがない。俺は重い体をあげて、重い足を動かして、恨み目を沙耶香に向けてから家を出たのだった。






「終わった……」


「そんな疲れるものなのかしら?」


「そうだよ」


「違うと思う」


「………」


 やはり今日の沙耶香は手厳しい。俺のこの姿に呆れているのだろうか。でも、俺の予想だと何か別の理由があるはずである。

 沙耶香が手厳しいと言うことは、不機嫌である可能性が高いと言うこと。

 そして彼女が不機嫌になる理由……あ、もしかして、そう言うことなのか。


「沙耶香」


「………何よ」


「明日海行こう」


「………………わかった」


 表情は不機嫌ですとでも言いたげなものを出しているが、口の端を見ると、少しだけ笑みを浮かべている。

 よかった、どうやら合っていたようだ。


「でも、大学の方はどうなのよ」


「明日は午前中で終わるから大丈夫だよ。だから行ける」


「……そう。じゃあ明日水着買ってくるから」


「……ありがとうございます」


「…………」


 沙耶香は恥ずかしさで黙ってしまった。そんな彼女も可愛い、と心の中で尊さを噛み締めていると、俺の様子に気がついた沙耶香は元々赤かった顔を更に赤く染めたのだった。








「海!二度目!」


「さっさと行きましょう……早く遊びたいわ」


「おう」


 俺たちは既にそれぞれ服の中に水着を着てきている。これは沙耶香からの提案で、すぐに遊ぶためだと、強制された。


 俺たちはそれぞれの脱衣所で服を脱いで、それを鞄にしまってから合流する。

 そして二人で一緒に海の中へとダイブした。


「うおおおお!!冷たっ……!?」


「さ、寒いけど、気持ちいいわね……!」


 幸い今日は夏の時期では例年より少し上の気温で暑かったので、この海の水の冷たさが丁度いい。それに、しょっぱい。


「このままぷかぷかと浮いていたい」


 俺がありのままの感想を述べて、しばらくぼーっとしていると、横から思いっきり俺の顔に向けて水がかかってきた。


「うわっぷ……!」


「あはははは!!何そのリアクション!!」


「むっ……やりやがったなこんにゃろう……!おりゃっ!!」


「ちょっ!?多すぎるわよ!?」


「沙耶香が先に仕掛けたんだろうがっ!!」


「きゃーー!!ちょっ、やめなさいって言ってるでしょうがあああ!!!」


「ぶおっ!?」


 こうして夕方になるまで、俺たちは海を満喫したのだった。

 これこそが青春(?)である。



____________________________________


 お久しぶりです。

 

 一応これにて完結ということで。


 また気が向いたら──ってこれ前にも言ったっけ。まぁ、前同様気が向いたらまたこれの番外編書くかも知れないけど忙しくなりそうだし多分書けないかなぁ……?


 ここまで読んでくださって誠にありがとうございました。

 外狭内広の次回作にご期待ください。



 ではっ!

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恋愛感情を捨てた少年〜付き合っていた彼女達に裏切られたのでもういいです〜【本編完結済み】 外狹内広 @Homare0000

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