ライオンでもなく…トラでもなく…クマ!

 子供の頃から動物好きなので惹かれて読ませて頂きました。
 前書きにだいぶ前の作品とあるので未完のまま放置されていた作品かもしれないと言うことで少々不安を覚えてしまいましたが、この不安は作品に対して魅力を覚えてしまった故に生まれてしまったものです。
 お許しください。
 以下レビューとなります。

 ストーリーは自分の平凡さと妹の置かれた状況に絶望を抱いた中学生の少年がヤケになって受けた難関学園の入試に合格した所から始まり、そこからさらに動物の特徴と力を持った「獣人」となり彼らの頂点たる「百獣皇帝」となって自分の人生を変えていく…というもの。

 適正はほぼ女の子ばかりで、野郎共はまずなれない…という最近のラノベでは王道なシステムに主人公は合格するのだが、彼の適正はクマ。それもヒグマとシロクマのハーフのピズリー。
 普通はライオンとかトラが来るのだろうが選ばれたのはクマ。
 動物バトルモノでは強者としてこそ扱われるがだいたい噛ませになりがちな不遇のファイター(とはいえ作中では最強)にスポットを当てた着眼点に個性が出ていると感じている。
 ライオンと虎はどっちが強い?という導入にも関わらず見事に予想を裏切られた。
 ヒロインもまさかのハーフ動物のライガーだったが最終的に主人公が彼女と結ばれた場合4頭の最強肉食獣の血が混じった更にヤバい生物が生まれるのだろうか。
 クマというよりはゾウかゴリラ並みの主人公のナイーブさが鼻につくが、目標を見つけ出した時に腹をくくるシーンは男らしいと思った。
 学園で頂点を取り、若くしてガッポガッポ稼ぐ人生の勝ち組になれ!というワイルドドリームに溢れる学園でどのように主人公は生きるのか、今後目が離せない。