第74話 side【ミカ】
◆ side【ミカ】
諦めたくない──
だけど、今の私だと攻撃に反応し切れない。
攻撃を受ければ死ぬかもしれない。
この攻撃さえ──当たれば皆は助かるのに。
目の前に拳が迫る──
「──ミカちゃんッ! ──「邪魔だッ!」──あぅッ──…………」
「──ミーヤッ!」
その時、ミーヤが男の片足にしがみつき動きを止めてくれるが、蹴り飛ばされて動かなくなる。
大怪我なのに更に攻撃を受けてしまった。
ミーヤは全く動かない。
まさか──死んでないよね?
「──放せッ! この糞餓鬼共がッ! うざってぇなッ!!!!」
倒れていた皆が次々と起き上がり、男にしがみついて行く──
「ミカッ! ボサっとしてんなッ! 今のうちにやれッ!」
「「「早くッ!」」」
皆は次々と殴られて気絶していく──
そうだ──
倒さなきゃ──
──皆が繋いでくれたチャンスだ!
絶対に当てるッ!!!!
私が攻撃のモーションに入ると同時に、反撃してくる──
「──喰らえェェェェェッ!!!!」
「──この死に損ないがァァァァッ!!!!」
相手の拳は私の顔面に、私の拳は腹部に直撃する。
私は踏ん張れずに後ろに吹き飛ばされて転がる。
顔を上げて男を見ると──
相手はそのまま立ったまま血を吐いて意識を失っていた。
「……勝った……早く…ミーヤの……治療を……」
皆はそこまで重症じゃない。きっと助かるはず。それよりもミーヤだ。
私は限界を迎えた体を無理矢理動かし──這いながらミーヤの近くに行く。
「……ミーヤ……」
ミーヤは微かに息をしており、まだ死んではいなかった。
だけど──血を大量に吐いていた。
サラさんの所へ行けばまだ助かるはず──
でも、ミーヤを動かす事は愚か、力が全く入らなかった。
なんとか出来たのは手を握るだけだった。
ミーヤの手は冷たい。体温がなくなっていっている。
せっかく勝ったのに──
私達は──
このままここで死ぬ?
「……勝ったとこ…見たよ……ありが、とう……」
ミーヤは私の声に反応して、なんとか声を出してくれる。
私がミーヤの為に戦った事に対してのお礼なのか、相手を倒した事に対してのお礼なのかはわからないけど──ミーヤの顔は笑顔だった。
苦しいはずなのに──
痛いはずなのに──
私に笑顔でお礼を言ってくれている。
こっちがお礼を言いたいぐらいだった。勝てたのはミーヤや皆がいたからだ。
特にミーヤが凄い。
戦闘職じゃないのに勇気を出して立ち向かうなんて、中々出来る事じゃない。
それだけに悔しい……。
ミーヤ……ごめんね……助けられなくて……。
「……帰ろう……私達の家に……」
また皆で楽しく過ごしたいなぁ……。
「……そう…だね……最後に…ロキ君の……顔が……見たかった……なぁ……」
「……私も……最後ぐらい…顔……見たかったなぁ……」
最後に思い浮かぶのはロキの顔だ。
──ミーヤも私と同じみたい……きっと、ロキの事が好きなんだろうなぁ。
「「ふふ……」」
私とミーヤはお互いに笑い合う──
……あぁ、寒いなぁ……。
それに──怖い……皆やロキと離れるのが……とても怖い。
二度と会えなくなると思うと怖い……。
孤児院に帰りたいなぁ……
それで孤児院卒業したらロキと一緒に冒険者もやってさ……
それで、毎日エッチな事とかされちゃったりしてさ……
いつか告白されちゃったりしてさ……
結婚して、子供が出来たりしてさ……
一緒に年をとっていくんだ……。
でも、ロキってモテるだろうし……私以外にもたくさんお嫁さんがいるんだろうなぁ……
あぁ、会いたいなぁ……
ロキに会いたいよぉ──
今とっても寒いからさ……抱きしめて暖めて欲しいなぁ──
あぁ、好きって言っておけば良かったなぁ──
ロキ──
大好き……だよ……────
私の意識は遠ざかっていく──
────
────────
────────────
完全に意識が無くなる寸前に──
いきなり全身を何かで包み込まれ、暖かさを感じた──
死ぬ時って暖かいんだなぁ──
────────────
お読み頂きありがとうございます。
短めです。時間なくて……。
最近ギリギリでの更新なので文面おかしかったり、描写不足の場合はすいません!
次の更新も書き上がり次第になります。
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これが最強の“紐ムーブ”だ♡〜職業“ヒモ”で少しエッチぃ“紐魔法”が使える俺は戦闘面でもゲーム知識を駆使して強いんですが、紐で縛るせいか周りからは特殊な性癖待ちだと思われているようです〜 トロ @tonarinotororo
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