第19話 討伐完了
攻撃の余波が俺のいる付近まで及んだため、一旦距離を取る。
距離を取り遠くから様子を眺めていると、鎧亀が魔術を発動させたのが確認できた。
鎧亀が魔術を発動するのと同時に、大地が不自然に動き始める。
「土属性の大地操作の魔術か」
この術は、発動者の魔力量によって効果範囲が変わる。帝王級の魔物である鎧亀が発動させれば、その効果範囲は数キロにも及ぶだろう。
周辺の大地は、見る見るうちに変化していき、周囲の景色は一変した。
そして、鎧亀の咆哮が上がると同時に、攻撃が始まる。
槍の形状へと変化した大地が波のように俺に襲いかかってきた。
これは避けられそうにない。
そう判断した俺は、迎撃の準備を整えた。
「雷雨ノ太刀」
雷切に魔力と闘気を纏い、広範囲の攻撃を発動させる。
無数の雷撃は土槍を迎え撃つように飛翔し衝突した。
衝突と同時、周囲に轟音が響き渡り、辺りに土煙が立ち込める。
なんとか、、、凌いだようだな・・・。
そう思ったのも束の間、次の土槍の波が押し寄せてきた。
このまま迎撃し続けていてもきりがない。これ以上被害が大きくなる前に一気にけりをつけるか。
そう思った俺は、必殺の一撃を鎧亀に向けて放った。
「秘伝・地界断」
その攻撃に気が付いた鎧亀は、大地を操り大地の壁を幾重にも生成したが、攻撃はその全てを紙切れの様に切り裂き鎧亀に到達した。
鎧亀はその一撃を前になすすべもなく、一刀の元に切り捨てられ絶命した。
「これで討伐完了だな」
俺は、鎧亀に近づいていき、鎧亀の巨体をストレージに収納した。
帝王級の魔物の素材は貴重だ。中でも魔石は加工すれば武器の材料にもなる優れた素材だ。
さて素材も回収したことだし、早いとこシスティナと合流して辺境都市に帰るか。
俺はシスティナがいるであろう場所に向け駆け出した。
***
その後、システィナと合流した俺は、辺境都市へと帰還していた。
その道中。
「最初からあの技を使っていればあそこまで苦労することがなかったのでは?」
システィナからそう問い詰められた。
「まあ、それはそうだが・・・。それだとつまらないだろ?」
本当はシスティナの実力が見てみたかったから手を抜いていたとは、口が裂けても言えないな。
俺はシスティナの問いにそう答えながら、心の中でそう思った。
「はぁ。これ以上聞いても無駄ですね」
「ははは・・・」
「それよりも、辺境都市に帰ってからのことを話しましょう」
「何かあるのか?」
全く心当たりのない俺はそう尋ねた。
「帝王級の魔物が討伐されたのです。騒ぎにならない方がおかしいでしょう」
あぁ。そうか。この世界だと帝王級レベルの魔物が討伐されることは稀なのか。
「そこは、、、ほら内密にしておけば騒ぎにならないんじゃないか?」
「そう言う訳にはいきません。鎧亀との戦闘の衝撃は、辺境都市でも確認されていることでしょう。辺境伯及びギルドは、市民の混乱を抑えるために、原因の公表とその原因がすでに討伐されたことを報告する必要があります。内密にすることなど不可能です」
「そんな・・・」
面倒ごとに巻き込まれる予感を感じた俺は、思わず情けない声を出してしまった。
ゲームの世界で最難関クエストを達成したら異世界にいた @katasa
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ゲームの世界で最難関クエストを達成したら異世界にいたの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます