第18話 鎧亀戦
気配を消しながら平原を進んでいくと、巨大な魔物の姿が見えてくる。
「討伐対象はあれか・・・。それにしてもでかいな」
それは、小山ほどの大きさがある巨大な亀の魔物だった。
「鎧亀。亜竜種ですね」
「亜竜種か。厄介だな」
「それにあの巨体。帝王級の中でも厄介な魔物です。どうしますか?」
「そうだな・・・」
俺は少し考えた後、システィナに作戦を伝えた。もっとも、作戦と呼べるような立派な物ではないが。
「俺がメインの攻撃をする。システィナはサポートを頼めるか?」
「わかりました」
「よし。決まりだ。援護は頼んだぞ」
俺はそう言い、鎧亀に向かって走り出した。
走りながら、ストレージから武器を取り出す。
取り出したのは、刀身に稲妻が走ったような刃紋のある、神話級に分類される刀『雷切』だ。
帝王級程度の魔物なら幻想級の武器を使う必要はない。
俺は、雷切に魔力を込め、武器の能力を発動させた。
雷切には魔力を雷へと変換するの能力がある。
その能力で生み出した稲妻を刀身に纏う。
鎧亀まであと少しのところまで近づいたが、そのタイミングで鎧亀が、こちらの存在に気がついてしまった。
鎧亀は巨体を起こし、臨戦体制に即座に移ると、咆哮をあげた。
その咆哮は竜のそれによく似たものだった。
衝撃波を発生させ破壊の嵐を発生させた咆哮だったが、その威力は本物の竜には遠く及ばない。鎧亀は竜ではなく亜竜。その力は竜にはほど遠い。
この程度なら防御するまでもないな。
俺は衝撃波の中、鎧亀へと向かって突き進み、雷切に纏っていた稲妻を技として放つ。
「二式・雷切」
雷切から雷撃が斬撃となって放出され、雷鳴と閃光が辺りに広がる。
「二式・雷切」は本来この武器専用の技だ。他の武器で使う「二式・雷切」とは、威力が桁違いだ。
本来の威力で放たれた雷切が鎧亀に直撃した。
だが衝撃が収まると、そこには無傷の鎧亀が佇んでいた。
「名前に鎧を冠しているだけあって頑丈だな」
そう呟きながら次の攻撃を仕掛ける。
「雷華」
雷の花が咲き雷鳴が轟く。
「これも効かないか・・・」
どうやら魔術系の攻撃に高い耐性があるようだ。
そんなことを考えていると、背後から魔術発動の気配を感じた。
その直後、巨大な氷塊が鎧亀の頭上に出現した。
圧倒的な質量を誇る氷塊は、避ける間を与えない速度で落下し、鎧亀に直撃する。
大地を揺らす程の攻撃だが、鎧亀には効かなかった。
だが、攻撃には続きがあった。鎧亀に当たり粉々に砕けた氷塊の破片が、鎖の形に再形成し、鎧亀をその場に縫い止める。
攻撃はさらに続き、鎧亀に絡み付いた鎖は強烈な冷気を発し始めた。鎧亀は鎖から抜け出そうと暴れるが、それ以上の速度で凍結が進む。
しばらくして鎧亀は、巨大な氷山のような姿になり動きを止めた。
が、それも一瞬のことだった。
鎧亀を凍らせていた氷に亀裂が走り、粉々になって弾け飛んだ。
「このレベルの魔術でもダメか。思ったより魔術への耐性が高いようだな。直接攻撃で倒すしかないか」
氷に閉じ込められたことで怒り狂った鎧亀は、闘気を纏った前足を地面を叩きつけた。
その一撃は、大地を割る。
そして、それでもなお勢いを損なわない衝撃波が周囲に撒き散らされた。
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