第17話 討伐依頼

「は?」


 支部長がとんでもないことを言い出す。


「冒険者でもない私が、なぜそんなことをしなければいけないのですか」


 システィナも即座に反論の意を唱えた。


「まあ、そう言わず最後まで俺の話を聞け」


「聞かなくとも考えはわかります。どうせ、二人で向かわせれば確実に討伐できるとでも考えたのでしょう」


「その通りだ。東の森の件を考えるに帝王級の討伐が可能な実力はあると思うが、不安があるのも確かだからな。だが、システィナと二人でなら確実だろう」


 はあ。これは断れそうにないな。


 システィナの戦い方にも興味があるし・・・しょうがない、依頼を受けるか。


「システィナと二人でとの事なら依頼を受けますよ」


「おお。そうか!」


 後はシスティナ次第だが・・・。


 俺と支部長の視線が自然とシスティナに向う。


「・・・わかりました。帝王級の討伐に向かいます。はぁ・・・」


 しばらく沈黙が続いた後、システィナは渋々といった様子で帝王級の討伐を引き受けた。


「よし。これから詳細を説明する」



 ***



 支部長から依頼についての詳しい説明を受けた後、俺はギルドを出た。


 別に今から依頼を受けに行ってもよかったのだが、システィナの準備が整っていなかった為、出発は明朝になった。


 俺は特に準備することがないから、今日はやることがないな。いや、そういえばさっき依頼を受けたんだったな。


 時間もあるし、依頼を完了させてしまうか。


 明日は朝が早い。なるべく早く依頼を終わらせよう。



 ***



 明朝。


 昨日は早めに依頼を完了させ、宿に戻ってきた。


 今日は帝王級の討伐だ。気を引き締めて行こう。


 集合場所であるギルド前に着くと、すでにシスティナが待っていた。


「おはようござます」


「おはよう」


 そう挨拶を交わす。


「目的地まで距離があります。早速出発しましょう」


「そうだな」


 帝王級の魔物は、辺境都市と秘境の森の間にある平原で止まっているらしいが、いつ動き出してもおかしくない為、急ぐに越したことはないだろう。


 平原までかなり距離があるが、俺達の能力値で走ればすぐに着くだろう。


 そんなことを考えながら、俺達は辺境都市を出発した。



 ***



 早朝に辺境都市を出立した俺とシスティナは、お昼前に目的地である平原に到着した。


「この辺りのはずですが・・・。帝王級の魔物が見当たりませんね」


 システィナが地図を見ながらそう言う。


 確かに目視できる範囲に帝王級の魔物は確認できない。


 俺は、周囲を探るためにスキルを発動させる。


 スキル・探知


 周囲数十キロの広範囲に探知を広げる。


 見つけた。あそこか。


「見つけたぞ」


「どこですか?」


「この先だ。まだ距離はあるが、慎重に進んだ方がいいだろう」


「そうですね」


 俺とシスティナは気配を隠し進んで行く。

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