★★★ Excellent!!!
重厚かつ新しい世界の中で繰り広げられる選択をめぐる物語 辰井圭斗
ウェブ小説を読むようになってから10か月で700作くらいに触れましたが、長期で連載を追いかけて最新話が出たら比較的すぐ読むという作品は2、3作しかなく、本作がその2、3作の内の一つであることは言うまでもありません。
「地球が壊滅した後で再生して、魔法みたいな『幻想』の力を使えるファンタジー世界になったんだね、分かった」と思い読み始めたら、そんな甘い話ではありませんでした(全くの間違いではありませんが)。是非数話読んで度肝を抜かれていただきたく思います。
「それ」と「それ」が両立するのかというのは本作を読んで何度も思うことです。
その文明の遺産とファンタジーの両立。
その硬派な文体と随所に光る軽妙さの両立。
その尖り過ぎた理性とエンタメの両立。
まるで、あり得ない体勢で空中を飛んでいるのにきれいに着地するのを見ているようで。信じ難く、唖然としてそれを見つめることしかできません。物語もキャラクターの思考も私の理解を超えているというのに、どうしてこうまで読ませられてしまうのでしょうか。
王道ファンタジーなのです。構成も要素も王道を踏んでいる。なのに、決定的に”違う”。非常に特殊な物語です。確かに青春ものであり、青春しているのです。なのに”違う”。私は、半年以上この作品を読み続けているというのに、この”違う”という二文字をそれ以上に説明する術を持ちません。私はこの作品が”違…
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