観光地に向かう電車に乗った二人の女子高生。しかし、その中の一人は、朝起きると性別が転換していた元・男子高校生だった。 電車内の一時間の間で、親友同士である二人が交わした会話のみのショートショート。突然性別が変わってしまったというファンタジーに、リアルな男女関係が乗っかっています。 いつまでも一緒にいたいという思いは、恋愛関係のみに生じるものではありません。等身大の悩みや思いをぶつけ合い、これからを見据えた二人を、応援したい気持ちになりました。
…と、応援したくなりました。この作品の「女体化」は単なるネタではありません。彼が性転換した動機づけがしっかり考えられていて、深みのあるドラマに仕上がっています。お互いを親友だと思っているけど、それぞれの価値観(優先順位)が違う。二人が納得できる距離感が見つかるといいですね。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(152文字)
女体化したらよろこぶ男は多そう。でも、主人公の柊輔はある事情で女のままでもよいと思っています。一緒に電車に乗っている相方には気持ちが伝わりません。もう解決済みの問題だからですな。柊輔は女になることであたらしい解決法を手に入れたと思っている。女になって嘆くでもなく、やったねイェーイとなるでもなく男に戻れるとわかって安堵するわけでもない。煮え切らねぇー! と思わせるのがうまい。煮え切らなさは男ならではって思いました。