♡伊織の愛人♡

x頭金x

第1話

 伊織は買い物へ出かけた。外に停めてあった愛人の“照雄“にまたがる。乗り心地がイマイチだった。


「あら、あんた太った?」


「す、すいません、7キロほど…」


 伊織は“照雄“から降りて、ケツを思い切り蹴り上げた。


「乗り心地の悪い豚はただの豚よ!!」


「お、お許しを!!ダイエットを、ダイエットをしますので!!」


 伊織は聞く耳を持たず、“照雄“の口に猿ぐつわを嵌め、首輪に繋いだリードをガードパイプに巻き付けて、それから『乗人センター』に連絡した。


「あ、あんたんとこの“照雄“ね、あれ、もういいから、太ったのよ、だからね、引き取ってちょうだい。それと代わりのも、お願いね、中型、中肉中背、筋肉質のね、場所は原宿の…」


「ムゴー!ムゴー!」


 照雄は必死に何かを訴えている。業績の悪い“照雄“は、クビになることを恐れていた。クビにされたら、家族を養っていけない。


 伊織は待っている間煙草を吹かしながら周りを見回した。皆おしゃれな愛人に乗っている。


「あ、あの人の愛人良いわね。やっぱり膝サポーターなしの方がスッキリしてておしゃれだわね」


 伊織は膝サポーターをつけている“照雄“を見て、煙草の煙と共に唾を吐きかけた。『乗人センター』が新しい愛人“幸平“を連れてやってきた。


「お待たせいたしました伊織様。この度は大変ご迷惑をおかけいたしました。お詫びと致しまして、この“幸平“を、無料にてレンタルさせて頂きます。お試しくださいませ」


 “幸平“は頼んだ通りの中型、中肉中背、筋肉質だった。


「あらあんた、サポーターなし?」


「はい、日々鍛えておりますので」


 と爽やかに“幸平“は答えた。伊織は“幸平“にまたがり、原宿の喧騒へと消えていった。


『乗人センター』局長の“敏一“がガードパイプに腰掛けて煙草を吹かした。


「これでキャンセル何人目ですか“照雄“さん?」


 “敏一“は“照雄“の背中で煙草の火を消した。


「ムゴー!!ムゴーー!!!」


「殺処分だな」


「ムゴーーーー!?ムゴーーーーーーーー!!!!!!!」


“敏一“は抵抗する“照雄“を無理やり引き摺り、愛人に乗せた。名前は“孝典“だ。

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