第2話 夜の喫茶

 この日、午後18時に営業を終えた喫茶「秋風」は、午後19時30分に再び開店する。しかし、昼の喫茶では無く夜の喫茶としてだ。


「こんばんは、いらっしゃいませ。ようこそ、喫茶「秋風」に」


 そう、喫茶「秋風」は不定期で夜も開店する特別な喫茶である。


「メニューは、金目鯛の天ぷらとランダムソース添えをベースとしております。心ゆくまで、お楽しみくださいませ♪」


 心地よい木製のベルが店内を駆け巡り、昼間にやってきた女子大学生が入ってきた。


「マスターさん、バイトって…まだ待ってました?」


「いつでも、ウェルカムだよ。ーーあぁ、履歴書は要らないよ。じゃあ、ホールをお願いしようかな?お客さんの人数とメニュー、たまに話し相手で良いからね」


「は、はい。お、お願いします!」


 マスターはニッコリして秋桜コスモス柄のエプロンを彼女に手渡すとキッチンに入って行った。


「い、いらっしゃいませ…喫茶「秋風」。でしゅ!」


あ、噛んだ。


まあ、初めてだから見逃そう。ーーって、やっぱり出来ない。


「夜は、「こんばんは、いらっしゃいませ。ようこそ、喫茶「秋風」に」って言えばいいよ。それと、噛んでいたよ。でも!初日だからええよ」


「は、はい!」


 暫くするとまた、心地よい木製のベルが鳴った。


「いらっしゃいませって、え?」


 さぁ、誰が来たのやら。続きはまた今度話しましょう。

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秋風吹くカフェの店員 @12の部屋 @sea164

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