夜道を歩く時、彼女が隣にいる気がしてならない

単行本で買わせていただきました、結城です。
なので、あらかじめカクヨム版ではないことをご了承願います。

この本を買ったきっかけは、前から恋愛系やホラー系の小説を読んでみたかったところにちょうど合体したジャンルの本があったからです。
五月に買って読み終わったのが今日……色々立て込んではいたのですがここに綴らせてもらいます。

面白かった点はいくつか。
一つ目はやはり話の構成。
プロローグ→出会い→日常(主人公にとっては)→怪異→エピローグと非常に時系列が分かりやすい構図となっているので、頭の中に入ってきやすい点。

二つ目は『赤い女』
赤い女は物語の序盤で出会う不思議な女性、佐倉乃亜に出会うきっかけでありまた終盤にも関わってくるワードです。
この赤い女がいたからこそ、物語が動き出していき幕も閉じたのでうまく書いたなと思いました。

三つ目は山城という存在そのもの。
彼がいなかったら始終シリアス路線だったのだろうなぁと、読んでいて常々考えながら拝読していました。
新幹線じゃなくてわざわざレンタカー借りて周囲をドン引きさせたり、彼女にカッコつけたい願望があったり、そもそも三角形の間取り自体にそれほど気にしていない時点で中々キャラが際立っています。
私が一番キャラ作りが上手いと感じたのは彼ですね。
佐倉乃亜も異常と呼べるほどの「ある現象」に対する執着と思考にうおぉ、となったのですが、私は彼かな。
彼なら怪異に巻き込まれてもギャグで終わりそう、逆を言うなら真面目な人ほどないものに縛られるんでしょうけどね。

ああ、気になる点は一つだけ。
────ホラーの部分は怖くなかったです。
……おこがましい発言大変失礼致しました。
いやはや、なんせ第一章の米田母の台詞に一番共感と恐怖を感じたぐらいですね。
こればかりは私の個人的意見に過ぎないので、気にする必要はないのですが。
映像化したら怖いんでしょうけど、文字にしたらシュールなんですね……ええ。
これは私の思い込みが生じたズレなのは理解していますが……。
ピンチ!とまでは分かりますけど、読んでて怖くなかったです。
どちらかと言うと、「儚く美しい恋愛ストーリー」の側面の方が強いです。
私は恋愛小説も読みたかったので良かったのですけどね。
一方幽霊や俗話、怪異譚などの見解は非常に興味深い内容で、ここは明確な良い点と呼べるのではないでしょうか。
特に『ウシイド祭り』の部分は知的に溢れていると感じましたね。

以上が私のレビューとさせていただきます。
ぜひぜひカクヨムで読んでみてはいかがでしょうか。
私が買った初めての単行本、充分と楽しませていただきました。
和田正雪さん、ありがとうございます。
また次作以降で単行本化したら買ってみたいですね。

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